Dear violin Students 私の大切な生徒たちへ

ヴァイオリンを学ぶ方々と分かち合いたいたくさんのこと

スタカート 篠崎バイオリン教本1巻 108番、109番

今日はスタカートの勉強をしましょう。

  

スタカートとは

スタカートとは 音と音の間をあける演奏法 です。

篠崎先生は スタカートは 音と音の間に休符を入れるように演奏する と書き、簡単にいうと、AはBを弓を速く動かしながら演奏したもの とおっしゃっています。

A:

staccatos, スタカート, スタッカート, staccato

staccatos / スタカート

B:

staccato alternative

私は篠崎先生のおっしゃることを非常に強く実感しています。スタカートは弓の動かし始めに、しっかりと弦をつかみ / catch the string、食いつき/ bite を与えることが大切ですが、その瞬間の後は、どちらかというと 弓のスピードが大切です。速いスピードで弓を動かすと、その分、目的地に早く到着するので、そこで、きちんと待つ。そうすることで、篠崎先生のおっしゃる「鮮明な音」(clear sound)を出すことができ、また、音と音の間にしっかりと silence ができ、間があきます。

スタカートの音の長さはどのくらい?

 上記の説明で明らかなとおり、基本的には、スタカートの音の長さは、だいたいその音の半分の長さになります。

 スタカート奏法において大切な3つのこと

1.弦をしっかりととらえたのち、弓を速く動かす

ひとつめの大切なことは、前出のとおり、弓でしっかりと弦をとらえたのちに、弓を速く動かす ということです。この弓のスピードがスタカート奏法の鍵となります。

2.弓は水平方向に

ときどき、生徒のなかには、スタカートの音のイメージを弓の動きで表現してしまい、弓を上下に動かしてしまう、弓を弦から離してしまう生徒がありますが、それではヴァイオリンによるスタカートは上手に演奏できません。ピアノで演奏するスタカートは確かに手・腕が上下するかもしれませんが、ヴァイオリンはまた別の楽器ですので、弓は基本的には水平に速く動かします。

3.待つ 

そして、とても大切なことが 待つ ということです。弓を速く動かして、音が短くなった分、次の拍まで少し時間があきます。その間をしっかりと感じ、次の音をだす準備をしながら待つのです。それができないと、どんどん走ってしまったりすることになります。(笑) この「次の音をつくる(出す)準備をしながら待つ」ということは、どんなに上手になってからも非常に大切なことです。今すぐにできなくても構いません。でも、今のうちにこのようなことについて、少し触れ始めてみましょう。

スタカートなし、スタカートあり、両方の練習をしましょう

スタカート奏法そのものとはまた別なことですが、スタカート奏法を習得するためには、その反対にあたる レガート奏法としっかり区別をつけることも大切です。しばらくの間はぜひ、課題曲をスタカートなし、スタカートあり の両方で練習をしましょう。

動画のご紹介 一緒に練習しましょう!

スタカートあり、なし、そして、ゆっくり、そして すこし速く などいくつか選択できます。すべてを一緒に練習できたらすばらしいけれど、すこしでも無理があれば、ゆっくりと、ていねいに練習をしましょう。

 


篠崎バイオリン教本1巻 / Shinozaki Violin Method Vol. 1, no. 106, 107, 108, 109, 110, 111, 112, 113

 このYoutubeチャンネルには、篠崎ヴァイオリン教本、鈴木ヴァイオリン教本などの練習補助動画がたくさんありますので、ぜひsubscribeなど、よろしくお願いいたします!動画を通してでも、みなさんとご一緒できることを楽しみにしております!

Happy Practicing! 

スコットランド民謡「美しきわが子よいずこ」(篠崎バイオリン教本2巻, no.44) / The Bluebells of Scotland (Shinozaki Violin Method Vol. 2, no.44)

今日は 篠崎ヴァイオリン教本2巻 44番「美しきわが子よいずこ」を勉強しましょう。

 

 この曲についてとても簡単に

            

bluebells, つりがね草, 釣鐘草

bluebells, つりがね草

この曲は教本にもあるとおり Scotish Air / スコットランド民謡 です。The Bluebells というのは、釣鐘草(つりがねそう)というベルの形をした青いお花のことで、スコットランドの国花です。The Blue Bells of Scotland は直訳すると 「スコットランドの釣鐘草」となります。戦争に行った恋人のことを思い、案ずる女性の気持ちを歌ったうただそうです。

日本では、明治15年から17年にかけて出版された「小学唱歌集」のなかで、日本語の歌詞つきで、その他たくさんのイギリス、ドイツ、アメリカなどの外国の曲とともに紹介され、この曲は「美しき」というタイトルで掲載されたようです。そのうたいはじめが、「美しきわが子やいずこ」なので、篠崎先生はこちらをタイトルとしてとられたのだと思います。

スコットランド民謡の歌詞、そして、当時日本語でつけられた歌詞を知っても知らなくても、このメロディーはとても親しみやすく、美しいものですね。実は、私自身、篠崎ヴァイオリン教本で育ち、この曲が好きでした。

もう少し進んだら Farmer The Blue Bells of Scotland / 美しき変奏曲

このスコットランド民謡をもとに、Henry Farmer がヴァイオリン(とピアノ)のためのバリエーション(変奏曲)を書いています。44番では、そのメロディーだけをあつかっていますが、Farmerの作品を篠崎先生が2巻のレベルの生徒たちのために短く、やさしくしたと思われるものが2巻の64ページに「美しき変奏曲」として掲載されています。私はこのヴァリエーションが子供の頃とても気に入っていました!

この曲を通して学びたい5つのこと

1.イ長調 / A Major

イ長調 / A Major という調 / key は G Major や D Major と同様にヴァイオリンにとても向いている調です。それは、オープンストリングス (開放弦)も使いやすいため、楽器が鳴りやすいからです。(これについてはまた別の機会にゆっくりお話ししましょう。)ですので、いつもと同様に、ですが、開放弦と確認できる音程はしっかりそれに合わせて、楽器を十分に鳴らせ、ひびきを感じましょう。そうなると、もちろん調弦も大切です。

2.Andante / アンダンテ

アンダンテとは 歩く速さで です。今は、車や飛行機、そしてコンピュータなど、すべてが高速化しています。この間勉強した篠崎ヴァイオリン教本2巻6番の「驚愕シンフォニー」を書いたハイドンは、ピアノトリオ(ピアノ、ヴァイオリン、チェロのくみあわせ)でこの曲の伴奏を書いています。ということはこの曲はその前からあったわけですが、ハイドンの時代ですら、車も、コンピュータもなかったのですから、もしかしたら、歩く速さも 今の私たちよりももうすこしゆっくりだったかもしれません。


Hob. XXXIa 176: The Blue Bell of Scotland

あなたは普段、どんな速さで歩いていますか? ちょっと歩いて、感じてみてください。みんな少しずつ違うでしょう?それでいいんですよ。あなたのこの瞬間のアンダンテをみつけましょう。明日のアンダンテは明日のアンダンテ。今日のアンダンテは今日のアンダンテ。(笑)本番がない場合には、そうやっていろいろなテンポで楽しんで構わないのです。でも、一度弾きだしたら、同じテンポを守りましょう。

3.声をだして歌ってみましょう

この曲は うた です。ですから、自分がどこからどこまで一息で歌うのかを感じるために声にだして歌ってみましょう。先生も上手には歌えません。でもそうすることで感じることが大切です。そして、それを弓をつかってまねるのです。ヴァイオリンではダウンボウとかアップボウとか、弓を運ぶ方向を変えるたびに、音がきれてしまいがちです。でも、自分の声でうたうときには、一音ずつに、息継ぎはしませんよね。(笑)この曲の場合は、少なくとも4小節は息継ぎをせずに、歌いたくなるはずです。ですから、ヴァイオリンで弾くときにもなるべく音をつなげるようにして演奏します。

ヴァイオリンをはじめて間もない生徒は上記のことはまだ心配することはありませんが、うたうことはとても大切です。この曲を復習に使っている生徒、そして、大人のかたは うたう ということ、そして、音を途切れさせない ということについて、考え始めましょう。

4.音の高低をしっかり感じながら美しい音で

篠崎先生は最初の2段ののち、次の2段はオクターブ下げて書いておられます。こうすることで、すべての弦を使って演奏できるのですから、ありがたいですね。高音(A string/E string)を弾いているとき、低音(D string/G string)を弾いているときではもちろんでてくる音の感じが違いますし、テクニックとしても、右`の肘の高さ、弓圧がそれぞれの弦によって違ってきますね。また、G弦を弾く際には、少し左肘をなかに入れる(自分の右側のほうにもってくる)と指が届きやすくなったりすることもあります。すべの弦で美しい音がだせているでしょうか?練習をしながら、そんなこともよく聴いて、確認してみましょう。

5.楽しんで弾いてみましょう

44番まできましたが、ここではリズムも音の並びも割りにシンプルです。いろいろなことを確認したり、考えたりしたら、一度、それを忘れて、純粋に楽しんで弾いてみることも大切です。こんなにきれいなメロディーなのですから。

動画のご紹介 一緒に練習しましょう! 

では今日も一緒に練習をはじめましょう。今回はno.44が最初に入っています。Descriptionのところに詳細が書かれていますので、必要なところを使いましょう。


The Bluebells of Scotland / 美しき我子よいずこ (Shinozaki Violin Method Vol.2, no.44 / 篠崎ヴァイオリン教本2巻)

 このYoutubeチャンネルには、篠崎ヴァイオリン教本、鈴木ヴァイオリン教本などの練習補助動画がたくさんありますので、ぜひsubscribeなど、よろしくお願いいたします!みなさんとご一緒できることを楽しみにしております!

 Happy Practicing!

グリーグ オーゼの死 (篠崎ヴァイオリン教本2巻 no.40) / Grieg Death of Ase, violin duet (Shinozaki Violin Method Vol. 2 no.40)

 

今日は篠崎ヴァイオリン教本2巻40番におさめられている グリーグ 「オーゼの死」の勉強をはじめましょう!今までに触れた曲のなかで一番悲しげな曲かもしれません。でも、とても美しい曲ですね。

 

 

この曲についてとても簡単に

この作品はノルウェーの作曲家 グリーグ(1843-1907) の代表作「ペール・ギュント」というイプセンの戯曲にもとづいて作曲された劇付随音楽のなかの一曲です。「オーゼ の死」に並んで「ペール・ギュント」のなかの「朝」「アニトラの踊り」「山の魔王の宮殿にて」などはとても有名で、みなさんもどこかで聴いたことがあるかもしれませんね。

この曲を通して学ぶこと

この課題を通して、みなさんは 弓づかいによる表現 に触れることができます。ヴァイオリンの演奏において、弓づかいはときに左手以上に大切です。弓のスピード、圧力、そして、以前にも触れたサウンディングポイントを変化させることで、多種多様な音色をうみだし、さまざまな場面にあったそれを選べるようになります。そして、そのようなテクニックの先にたつものがイマジネーションです。

イマジネーションをふくらませるためのキーワード

この曲の性格をあらわすキーワードはもちろんタイトルにある「死」でもありますが、次に書かれている Andante doloroso / アンダンテ ドロローゾ も同様に非常に大切です。アンダンテは 歩く速さで そして ドロローゾは in a sorrowful, mournful or plaintive manner with grief / 深く悲しんで です。深く悲しんでいるときには、頭は垂れたれ、足が前に運びません。なので、テンポの選択も自然と遅めとなります。

曲の雰囲気をしっかり表現するための3つの大切なこと

テンポの選択のほかに、曲の雰囲気をしっかりと伝えるために考えてみたいことがあともう2つあります。

この曲を学ぶ子供のみなさんにはまだ難しいかもしれませんが、大人の方々は 拍の(前のほうではなく)後ろのほうを感じる ということにも挑戦してみてください。そうすることにより、深い悲しみが足かせとなって、足を前に運べずに、足を引きずっているかのような、重たさ、暗さ、などを表現することができます。決して急がないことです。

また、音程も少しだけ低めにとると、よりその表現が深まります。

動画のご紹介:一緒に練習しましょう!

こちらの動画では、以前のものもそうですが、課題曲と同じテンポで準備練習に取り組んでいます準備練習のときから、なんとなく 「深く悲しんで」という音を探しながら練習してみましょう。

今回の準備練習のクレッシェンドやディミニュエンドは自宅でのラップトップによる録音はとても難しいですね。マイクは小さな音をとても大きく拾ってくれるので。音色が自然ではないですが、音量が変わっているのはわかると思いますので、ぜひ一緒に練習しましょう。音が割れているところもありますが、そのままにしてあります。

そして、今回は、なるべくビブラートに頼らずに、弓だけに集中して表現をするようにしています。もちろん、自然と少しだけビブラートがかかることもあると思いますが(動画でもそうなっています)弓の動きに集中して練習をする機会をもつこともとても有意義です。

すべての課題においてそうですが、最終的には、あなたのAndante dolorosoをみつけてみてくださいね。そのお手伝いが少しでもできればうれしいです。

必要なときに必要なところを使ってみてください。

では一緒に練習をはじめましょう!


グリーグ オーゼの死 / Grieg Death of Ase (篠崎ヴァイオリン教本2巻 / Shinozaki Violin Method Vol.2), no.40 and no.34-39

このYoutubeチャンネルには、篠崎ヴァイオリン教本、鈴木ヴァイオリン教本などの練習補助動画がたくさんありますので、ぜひsubscribeなど、よろしくお願いいたします!みなさんとご一緒できることを楽しみにしております!

 

 Happy Practicing!

バッハ ガヴォット (篠崎ヴァイオリン教本2巻 33番)/ Bach Gavotte (Shinozaki Violin Method Vol.2 no.33)

篠崎ヴァイオリン教本2巻 33番の バッハ ガヴォット は バッハの無伴奏チェロ組曲6番のガヴォット I からきています。こちらでは ガヴォット I のみが扱われていますが、鈴木ヴァイオリン教本5巻では ガヴォットI, II の両方を学ぶことができるようになっています。

篠崎先生がなぜチェロ曲を扱われたのかは不明ですが、チェロ無伴奏組曲も無伴奏ヴァイオリンのための6つのソナタとパルティータと同じようにすばらしい作品群なので、その一部に触れられることはよろこびですね。私自身、一時、このチェロ組曲ばかり聴いていた頃があります。

以下の動画には、メトロノームあり、なしのヴァイオリン二重奏、そして、いつもとおり、セカンドヴァイオリンのみ(今回はこちらもメトロノームあり、なしの両方)をおさめていますので、ぜひ、私と一緒に弾いてみてくださいね。

そして、今回は最後に私自身がヴァイオリン用にアレンジされたものを参考までにちょっと弾いてみました。鈴木ヴァイオリン教本に収められているうアレンジとはもちろん別のものです。

***YoutubeのDescriptionにタイムがマークしてあります。

 


Bach Gavotte / バッハ ガヴォット (Shinozaki Violin Method Vol.2 / 篠崎ヴァイオリン教本2巻)

このYoutubeチャンネルには、ほかにも鈴木ヴァイオリン教本や篠崎ヴァイオリン教本などに収められている曲がたくさんありますので、subscribeなど、ぜひよろしくお願いいたします!

 

 

これまでもガヴォットという言葉は何度か耳にしていると思いますが、ガヴォットもメヌエットなどと同様に、バロック時代の踊りの一種です。ガヴォットにはジャンプのステップが入っていたよう。2分の2拍子で、四分音符ふたつのピックアップが入ります。

 


Gavotte du Roy a quatre

 

前出のとおり、この作品は実はチェロのために書かれています。世界中にすばらしいチェリストがたくさんおられますが、チェロの演奏の一例としてこちらをご紹介しましょう。

 


Heinrich Schiff Bach Cello Suite No. 6 Gavotte I-Gavotte II

 

****

今回は生徒のおかげで、無伴奏チェロ組曲6番のなかのガヴォットIのポロによるヴァイオリンアレンジにはじめて出会うことができました。腱鞘炎に悩まされるなか、重音、コードはあまり弾いていませんでしたが、今回、チャレンジしたので、記録に残しておくことにしました。自宅でただ、自分のラップトップに向かって弾いたもの。クラシックは音響環境も大切かもしれませんが、学校を出たら、オーケストラのお仕事は別として、ほかのお仕事は環境の悪いところで演奏しなければならないことのほうが多かったので、やはり自分の楽器をいかに鳴らし続けられるか、自分の楽器でできる限りよい音を追究する という姿勢はとても大切ですし、そこが一番大切な気がして、ノイズリダクションもなにも使わずに、Rawの状態でおさめました。

キタナイ音を音響のよい場所で弾いたらそれが響き渡るわけですからオソロシイ... でも、もちろんperforming artはそれだけではありません。やはり、そのとき、その瞬間しかでないもの、その人から発せられるものもあり、目から入る情報もたくさんあるので、すべてのエレメントのバランスが大切ですし、音以外から補われるものもあるでしょう。演奏する人間は、とにかくベストを尽くすしかない ですね。本当に難しい。

クヴァンツによると、ガヴォットは 四分音符=120 です。これに録音し終わってから気がつきましたが、そこまでは遠くなかったのでよかったです。(笑)

私は今回、コードに関しては in 1のアプローチです。

自分の音を聴いてみると、ときどき、死んだ音があります。(ちょっと音程がおかしいところ、クリーンでないところもあります。)そして、そういうときには、楽器をにぎりしめています。私の場合はとくに、1指を使うときにそうなりやすいということに気づき始めています。また、3指でときどき不安定な感じがあるのはつめに一番近い関節ががくがくしてしまうため。この関節はたぶん弱いのだと思います。生まれたてのコジカみたいに(probably this is a bit exaggerated...:)) ときどきがくがくするので、それを隠しながら弾こうとして、身体を締めることもあるような気がします。左手に関しては、リリース(指をはなすという動作)の大切さをあらためて感じています。

 

Happy Practicing!

腱鞘炎の治癒過程 身体の使い方の工夫

f:id:dearstudents:20200803181637p:plain


2019年11月20日頃に発症した 左手親指付け根のあたりの腱鞘炎ですが、ここのところ、瞬間的な痛みからもだいぶ解放されるようになってきました。

実は、7月にはいってからも ときどき痛みを感じていて、本当に腱鞘炎と付き合うのに飽き飽きしてきていました。

カイロの先生にテーピングの方法を紹介していただいたのですが、数週間続けた後、やはり不便がでるので、使うのをやめてしまいました。

(このテーピングの方法は、私のたどった道として、ぜひブログにアップしようと思います。)

と同時に自分の身体の使い方に、もっと繊細にならなければならない という気持ちもでてきました。落ち着いてヴァイオリンに向き合えるときには、筋肉を締めて使っている ということにときどきですが気づくようになりました。私は両肘と左親指付け根に腱鞘炎がありますが、左肘の筋肉の付け根のあたりを締めている感覚を得られたり、ときには、肩や背中、つまりからだ全体を締めているということを感じられたりするようになりました。これはもちろんいつもいつもではなく、ときどき 感じられるのですが、きっとそのような癖があるのだと思いました。

ただ、このようなことを変えることは、気の遠くなるような作業です。今までとおりの歩き方をしてはいけません といわれているような気がして、非常に窮屈ですし、これまで積み重ねてきたことが、すべて台無しになってしまったかのような気持ちになりました。ものすごく不安になりましたし、悲しくて、涙がこぼれました。しばらくとっても落ち込みました。

でも! これはチャンスである ということも頭では理解ができました。

身体を締めてしまう要因のひとつは、音程をはずすことへの恐怖 や キタナイ音をだすことへの恐怖 です。恐怖心は筋肉を確実にかたくしてくれます。(笑)もちろんそれだけではありません。これまで培ってきたからだの使い方の癖です。身体をゆるめて訓練をすれば、筋肉をゆるめた状態での動きを正しく習得できたと思いますが、私はそう訓練してきていないので、赤ちゃんが歩くことを覚えるように、私もいつごろからその悪い癖、筋肉を締めること をはじめたのか、つきとめてみたくなりました。

篠崎ヴァイオリン教本1巻や2巻あたりでは、この恐怖を感じませんし、身体を締めている感覚もほとんどありません。(ただ気づいていないだけかもしれません。)ただ、生徒のための練習補助のための録音で、ヴィオッティ を弾いたときには、身体を/筋肉をかたくしていたのが感じられました。しばらく練習をしたモーツアルトのある曲を弾いたときには、同じような高音がありますが、それはみられませんでした。

確かに私が練習するときには、かなり、身体を自由にした状態でこの曲を弾くにはどうすればよいのか ということを考えるのに時間を費やすことがするためにどうすればよいのか ということに時間を費やすことが多いです。身体を自由にしてあげると(free your body)、楽器から出てくる音も開かれた状態(open)になることを知っているからです。

f:id:dearstudents:20200803181414p:plain


今日は、ビブラートが以前より、本当に本当に少しですが、やわらかくなった気がして、少しうれしかったです。(でも、it is not always...)と同時に、自分の左指の関節たち(joints) を閉めていたということをはじめて感覚として得ることができ、とても驚き、つい自分の左手をみつめては、大きく目を見開いてしまいました。

まだまだ先は長いですが、自分自身の身体がヴァイオリンと一緒に共鳴し、私の想う音を、怪我なくだせるようになることを夢見て、亀の歩みをすすめます。

いろいろと助言をくださった古武術稽古先生に感謝です

ブログを読ませていただきながら、ヒントをいただき、がんばります。

 

 

バッハ G線上のアリア(バッハ アリア 管弦楽組曲3番より)

G線上のアリアとして有名なこの曲は 管弦楽組曲のなかのひとつ です。

ドイツのヴァイオリニスト アウグスト・ヴィルヘルミ (August Wilhelmj)(1945-1908)がG弦だけでこのメロディーを演奏できるように編曲したことで多くの方に親しまれるようになりました。

今でもとても人気のある作品で、今回は、大人の生徒さんの希望曲のなかにこの曲がはいっていたことから、こちらの動画をつくってみました。

 


Bach Air from Suite no.3 (Air on G string) / バッハ アリア 管弦楽組曲3番より (G線上のアリア), played by four violins

 

4つのヴァイオリンパートを私が弾いていますが、実はそれぞれのパートにはそれぞれの役割があり、実際に演奏する際には、お互いの意思を感じあい、寄り添いながら、そして、鼓舞しながら(この言葉あってますか??)、音楽のもつエネルギーを運んでいくのですが、ひとりではそれをすることが難しく、非常に苦労しました。

録音の技術、機材もまったくもちあわせていないこと、また、このような録音を自分ですることに慣れていないので、各パートのバランスなどがコントロールできなかったり、ところどころ、不用に前にいっているところがあったり、私が指揮台に立っていたら、あるパートをじろっと見てしまいたくなる気分です。(笑) 

今回は、生徒さんのレベルを考え、ファーストポジションで弾くG線上のアリア なので、音色選びも限られてしまい、その点も制限がありましたが、私の生徒さんを含め、この曲に憧れ、愛し、演奏したいと思う方々と録音を通してでも、同じ時間をともにできればとてもうれしいです。いつもと同様、動画の後半は、ファーストヴァイオリンを抜いてあるので、ぜひ一緒に演奏しましょう。

さて、バッハの作品ですが、前出のとおり、これは組曲のなかのひとつです。

アリアは、非常にゆったりと情緒的に演奏されることもありますが、私は組曲のなかのひとつであること、in 4 であること、また、当時は今とは別の楽器が使われていたことも頭の片隅に、あまりゆっくりとしすぎない演奏が、今は、好きです。

少し検索してみるとひとつの例として、以下の演奏ではとても速い!!テンポで演奏されています。(10:33からです)このような軽快なテンポも私の耳にはとても新鮮に聞こえます。

 


J. S. Bach Orchestral Suite No.3. - Reinhard Göbel & Budapest Festival Orchestra

Thank you, Budapest Festival Orchestra!

 

そして、アリアの次の曲にも耳を傾けてみてください。こちらは、ガボット(13:22)。鈴木ヴァイオリン教本3巻、篠崎ヴァイオリン教本2巻におさめられています。

こちらも近い将来、私の生徒たちと一緒に勉強することになりそうです。

 

******

この動画をつくりながら、仲間たちと演奏できていたことをとても恋しく思い、涙をそそりました。そのとき、その瞬間にしかできない音楽や音を通してのコミュニケーション。私自身はヴァイオリンを弾くということよりも、そのときそのときご一緒するほかの演奏家たちのこころのうちを音や演奏から察しの積極的なコミュニケーションを得意とするので(もちろん、同意できないときには I don't think so! とりあえずいわなければならないこともありますが(笑))、それが叶わない今に歯がゆい思いがつのるのでした。アメリカではまだまだ制限が続いています。けれども、今だからこそできることもたくさんあります。希望を忘れずに歩みましょう。

 

篠崎ヴァイオリン教本2巻 バッハ ふたつのメヌエット

前の記事で バッハのメヌエットをとりあげましたが、篠崎ヴァイオリン教本2巻のなかにも同曲がみられます。( g minor のメヌエットははいっていません。) ふたつのヴァイオリンで演奏できるようになっており、アンサンブルの感覚も養うことができます。鈴木ヴァイオリン教本とは少し違ったアレンジメントなっているので、こちらもぜひ楽しんでみたいですね。

このレベルになると、スケールが弾ける段階にあるので、必ず練習するようにしましょう。

こちらの動画には、スケールもおさめてありますので、ぜひ利用してみてください。

メヌエットに関しては、いつもと同じように、ふたつのヴァイオリンでの演奏のあと、一緒に弾けるようにセカンドヴァイオリンのみをおさめています。

 


バッハ メヌエット / Bach Minuets (篠崎ヴァイオリン教本2巻 / Shinozaki Violin Method Bk 2), violin duet and play along ♪

 

うえの動画の左上の赤い丸をクリックののち、Videosをクリックすると、その他のビデオもみられますので、ぜひチャンネル登録など、どうぞよろしくお願いします!

 

dearstudents.hatenablog.com

 


Bach Minuet 2 (バッハ メヌエット2), Suzuki Violin Bk 1(鈴木ヴァイオリン教本1巻), two vns + 2nd vn part to play along ♪

 

 

バッハ メヌエット (鈴木ヴァイオリン教本3巻)/ Bach Minuet (Suzuki Book 3)

バッハ作曲 G Major のメヌエットは、鈴木ヴァイオリン教本1巻にもでてきて、一般に広く親しまれている曲ですね。ピアノ、ヴァイオリン、ギター、フルート などなど、いろいろな楽器で演奏されています。3巻では、g minor のメヌエットも学べます。

 

 

お家での練習のために:一緒に弾こう! 

ふたつのヴァイオリンのあとに、セカンドヴァイオリンのみがおさめられていますので、ぜひ一緒に弾いてみてくださいね。

遅すぎる?速すぎる?必要があれば、別のテンポでもおさめられるので、ご連絡くださいね。みなさまの練習のお役にたてますように。

 


Bach Minuet (バッハ メヌエット), Suzuki Violin Bk 3 (鈴木ヴァイオリン教本3巻), violin duet + 2nd vn part to play along

 お役にたてましたら、subscribe, コメント、いいね、など よろしくお願いします!

 

実はバッハの作品ではない?!

バッハは1720年の旅行中に妻を亡くし、その翌年に、当時楽長として仕えていた同じ宮廷のソプラノ歌手のアンナ・マグダレーナ・ヴィルケと再婚します。彼女はとても優れた音楽家で、バッハの仕事をよく手伝っていました。

バッハは1725年に「アンナ・マグダレーナ・バッハのための音楽帖2巻」(Notebook for Anna Magdalena Bach) を編んで、メヌエット、ガボット、ミュゼットなどたくさんのバロックの踊りの曲をおさめており、これら G Major / g minor のメヌエットも含まれます。この音楽帖にはバッハの作品だけでなく、ベーム、クープランなどの作品が収められていますが、多くはまだ匿名のまま。これらのメヌエットも作曲者の名前なしで記載されていたので、バッハが作曲したものと考えられていましたが、1970年に、音楽学者ハンス ヨアヒム・シュルツたちによって、作曲者は ドイツの作曲家、鍵盤楽器奏者であったクリスティアン・ぺツォールト ( Christian Petzold )であると正されました。 

 

バロックダンスのひとつであるメヌエット

さきほども書いたとおり、メヌエットはバロック時代の踊りのひとつです。これまで学んだ、ガヴォット、ミュゼット、ブーレなどはすべてバロック時代の踊りです。大きなスカートをはいて踊られていたメヌエット。以下に参考動画を貼っておきますね。

 


Minuet from Pierre Rameau s book Maitre a danser, 1725

Thank you, Dancilla for the wonderful video!

 

ハープシコードによる演奏

そして、ピアノが発明される前からある鍵盤楽器、ハープシコードでの演奏のひとつ例がこちらです。バロック音楽のひとつの特徴ともいえる、かざり(装飾)が聴こえますか?:)

 


Bach, Minuet in G major, BWV Anh 114, Harpsichord

 


Bach, Minuet in G minor, BWV Anh 115, Harpsichord

Thank you, The Great Repertoire for your wonderful videos !

 

Happy Practicing! 

 

イダ・ヘンデル先生:ヴァイオリニストの寿命、身体の使い方

イダ・ヘンデル先生が、2020年6月30日に亡くなられましたね。。。

ポーランド出身のイギリスのヴァイオリニスト。

もちろん、面識はありませんが、女流ソリストとして、70年もの間ご活躍になり、コンクールの審査もされたり、また、デイヴィッド・ギャレットの先生としても知られているようです。

カール・フレッシュやエネスコと学んだそう。

最後の最後まで、演奏を続けられていた という印象があり、すばらしいと思います。

少しだけ彼女のドキュメンタリーを拝見しましたが、80歳を超えても、階段を颯爽とのぼり、(彼女なりの(笑))おしゃれをし、「これはどういうこと? 聴衆のなかには、私の右腕がいかれちゃったって思う人がいるわよ! そうじゃないの。私のせいじゃないわよ! なんとかしてちょうだい!」みたいな感じで、ヴァイオリンの調整をお願いされていました。確固たる自信と誇りがみなぎっていました。

そして、その調整の際に、さらさらっ と ストラディヴァリウス を弾かれたその左手は、とても小さな動きなのにも関わらず、もちろんしっかりとよい音をとらえています。小さな筋肉を上手に使っているような印象でした。

 

ヴァイオリニストの寿命はピアニストのそれと比べると、短い とおもわれます。が、ヘンデル先生が、80歳を越えても、演奏会を続けられたのは、もしかしたら、小さい筋肉のコントロールが上手にできるからなのかしら? とふと思いました。

 

私は若い頃にスポーツをしていたこともあり、大きな筋肉を使うのが得意です。が、今、こうして、腱鞘炎とつきあっています。小さな筋肉を上手に使うこと も もしかしたら、私自身がこの問題から抜け出すキーワードになるかもしれません。

 

 

ヘンデル 合唱「ユダスマカベウス」から (鈴木ヴァイオリン教本2巻) / Handel Chorus from "Judas Maccabaeus" (Suzuki Violin Bk 2)

この作品は、1745年から翌年にかけて書かれたヘンデルのオラトリオ「ユダスマカベウス」の一部、合唱「見よ、勇者は帰る」(See, Conquering Hero Comes) のメロディーです。

ヘンデルの「メサイア」についで、人気の高いオラトリオだそうですが、私自身は演奏の経験がありません。

日本では表彰式の際に用いられることが多い印象ですが、今でもそうなのかしら?

今回は、3つのヴァイオリンでの演奏です。あとのほうに、伴奏部分のみが録音されていますので、ぜひ一緒に弾いてみてくださいね。

maestoso というのは、堂々としていて、おごそかな感じ。

そんなキーワードを与えられたら、あなただったらどんな風に演奏するかしら?

下のほうには参考ビデオもあります。オラトリオのなかで演奏されるときは、このような感じになるんですね。雰囲気が違いますよね。

なぜかしら? なんとな~く考えてみてね。:)

 


Handel Chorus from "Judas Maccabaeus" (ヘンデル 合唱 「ユダスマカベウス」から), Suzuki Violin Bk 2 (鈴木ヴァイオリン教本2巻)

 `

 


Handel See Conquering Hero & March from Judas Maccabeus HWV 63 Oratorio Óscar Gershensohn

 Thank you, Felices Cantus Handel, for the video !

 

Happy Practicing !

 

不平や不満をこぼしたら 光をみいだそう:2本の指でチャイコフスキーを弾くヴァイオリニスト

不平や不満をこぼす前に 光をみいだそう というタイトルだったのですが

。。。こぼしたら。。。 という風に変えました。

人間ですもの。同じ不平や不満を抱える人とそのような気持ちを共有しあうことも大切。でも、そのあとには ぜひ光をみいだしたい。そんな気持ちです。(7/11/2020)

*********

 

音楽の道はとても険しく、厳しい。

けれども、音楽は寛大で、どんな人間をも受け入れてくれます。

私たち自身があきらめなければ。

私自身、精神的に、そして、身体的に、もう辞めようと、本当に辞めようと思ったことがあります。

音楽の道を志したのがあまりにも遅かったから とか

身体的に向いていないから とか

精神が壊れてしまったから とか

いろいろな理由がありましたし、あります。

けれども、なぜかいつも、私の先生や周りに助けられて、導かれて、今もなんとか楽器に触れています。

かなり長い間、オーケストラのお仕事で忙しく、初心者のレッスンをしていなかったので、再びはじめる際には、その責任の大きさに足がすくんでいた時期もありましたが、踏み込んでみると、きちんと教えることができて、そして、生徒たちはきちんと育ち、笑顔をみせながら、よろこんでくれている その様子に励まされて、また、生徒たちと一緒に再び触れる作品たちーーーそれは、篠崎ヴァイオリン教本や、鈴木ヴァイオリン教本からはじまり、モーツアルトや、バッハやベートーベンというより深くすばらしい作品の数々ーーーのすばらしさ、そして、私の場合は、私の先生と今でも言葉を交わすことで、とてもとても励まされ、音楽学校にも、私の周囲にも、私はヴァイオリンを弾いたり、教えたりする人間 として接していただいて、音楽やヴァイオリンに真摯に、誠実に向き合うことができています。

不十分かもしれないけれど、私の精一杯。

そして、数日前には、2本の指でチャイコフスキーを弾くヴァイオリニストの動画に出会いました。

彼は focul dystonia (局所性ジスとニア)により、薬指と小指の機能を失ったとおっしゃっています。けれども、そこで、ヴァイオリンをやめずに、チャイコフスキーの協奏曲を残されている2本の指で学びなおしたのです。

私自身、身体的な問題で痛みやストレスが多い日々ですが、彼の果敢な挑戦には本当に頭が下がります。私の場合は、もともとが 彼と比較にならないところにいるとは思いますが、それでも、こうやって果敢にチャレンジをし続ける方がとてもまぶしく映ります。

無理はできませんが、私も希望を失わないように、そして あなたも。


2 Fingered violinist Clayton Haslop plays The Tchaikovsky Violin Concerto

 

Happy Practicing! 

 

バッハ メヌエット1(鈴木ヴァイオリン教本1巻)/ Bach Minuet 1 (Suzuki Violin Book 1)

バッハ作曲 メヌエット1のヴァイオリンデュエットです。

まずはとても大切な ト長調音階とアルペジオ を必ず練習してから 曲の練習をしましょう。

ふたつのヴァイオリンのあとに、セカンドヴァイオリンだけが録音されていますので、ぜひ一緒に弾いてみてください ♪


Bach Minuet 1 (メヌエット1), Suzuki Violin Book 1, two violins and second violin part to play along ♪

 

鈴木ヴァイオリン教本の3巻では、この G Major のメヌエットとともに、g minorのメヌエットも学ぶことができます。1巻を勉強しているあなたには、ちょっと先のことの感じがするかもしれないけれど、下にリンクがありますので、興味があったらのぞいてみてくださいね。

 

dearstudents.hatenablog.com

Happy Practicing!

 

ヴァイオリン奏者の手の問題: 過度可動性 (Hypermobility)

私は学生の頃から、演奏のよる怪我(performance injury) を経験し、その後、両肘のテニス肘、そして、昨年11月(約6.5ヶ月前)に 左手親指の腱鞘炎 (ドケルバン症候群) を発症し、まだ完治はせずの状態です。

数日前に、たまたまメンバーになっている アメリカ弦楽器指導者協会 の 出版物 に目を通していると、ある記事 (American String Teacher vol.70, no.2, May 2020, pp.35-38 ) に目に留まりました。Playing and Teaching with Double Joints by A.D. Peterson 

(ダブルジョイントの人のための演奏と指導)です。

 

 

ダブルジョイントは存在しない---それは過度可動性のこと

私のカイロの先生によると、そして、Peterson先生も書いてらっしゃいますが、実は、ダブルジョイント、つまり、関節がふたつ、という事実はは存在しません。関節がとても柔らかい、そして、可動性が過度になってしまう場合、可動域が大きくなるため、まるで関節が2つあるかのようだ という印象をもたれやすく、ダブルジョイントと表現されるようになったようです。

今回、Peterson先生の記事には、写真入りで説明してあり、はじめて、ダブルジョイント、過度可動性 ということがどういうことなのかを知り、また、自分自身が該当するということを知りました。以下は私の左手、右手の写真です。

 

過度可動性の例

1.左手親指付け根の関節に過度可動性がある状態

右手は普通です、といって、比較の写真を載せたいところなのですが、私の右手親指付け根の関節も同じ状態です。 

親指の過度可動性, hypermobility on left thumb (metacarpophalangeal thumb joint)

2.左手親指の付け根の関節に過度可動性がある状態

左親指の過度可動性, hypermonility of interphalangeal thumb joint 

 

3.右手親指

2番目の写真と比較するため、載せています。

この関節は普通の状態なので、左手の親指ほど曲げることができず、ここまでが限界です。

右手親指

私は左手小指の付け根の関節にも過度可動性がみつかりました。

そちらはまた写真をとってから載せようと思います。

 

私の子供の頃の記憶からすると、たぶん、日本人には多々みられるのではないかという気がします。過度可動性そのものは問題はありません。問題は痛みがある、痛みがでる場合です。

 

気をつけたい3つのこと

子供の頃、若い方は痛みとは無縁だと思うので、将来問題がでないように、以下のことを頭の片隅においておくことも大切です。

1.関節をポキポキ鳴らしたり、「私はこんなことができるの!」などと、過度可動性をみせびらかさないこと。

2.足裏のアーチをきちんと保つ靴を選ぶこと、ひざに過度可動性がある人は、ひざを少しゆるめて(まげて)立つこと。

3.脚を組んで座らないこと(たぶん、骨盤のゆがみもよくないためだと私は捉えています。)

 

でも、それでは不充分! 

私自身、ヴァイオリンを弾き、教えるものとして、そして、現在、腱鞘炎の問題を抱えるものとしては、これらの提案だけでは不十分です。

最近、カイロの先生から、あたらしいアプローチを教えていただいたので、その実験の経過や考えたことなど、また記事にしていこうと思います。

 

問題をお持ちのかた、ぜひ一緒に道を探しましょう!

 

 

鈴木ヴァイオリン教本1巻 クリスマスの歌 / Suzuki Book 1 O Come, Little Children

これはもともとドイツの賛美歌だったとのこと。

最初にふたつのヴァイオリン、そして、最後にセカンドヴァイオリンだけが録音されていますので、一緒に弾いて楽しんでくださいね。


O Come, Little Children (クリスマスの歌) Suzuki Violin Bk 1, two violins + 2nd vln part for playing along

Happy Practicing ! 

パガニーニ カプリス 24番 ヴァリエーション 5 

今日はご質問をいただいたので、おこたえしたいと思います。

 

「最近ブログを読んで、勉強させていただいております。 録音の音色がとても美しくて聞き惚れています。 突然で申し訳ないのですが、今パガニーニ24番のバージョン5が上手く弾けずに行き詰まっています。。 個人的には移弦が上手くいっていないと思っています。」

 

f:id:dearstudents:20200627131543p:plain

paganini caprice 24 var.5


まず、私にこのようなかたちで声をかけてくださり、また、私の録音の音に対して好意的に感じてくださったこと、とてもうれしいです。

私の楽器もマイクも、プロフェッショナルの世界の方々を考えると、及ばない感満載ですし(笑)、録音もいろいろとありますが(笑)生徒たちが勉強する参考にはなるかなと思い、続けています。。。ありがとうございます!

パガニーニのカプリース24番に挑戦されていること、とてもすばらしいですね!!

 

  

今後の課題

まず、動画を拝見して、とてもよく弾けていると思いました。高い音をとるときにきちんと左手を準備してから弾かれているのもいいことだと思います。

よりよいものを探るためのきっかけになれば、という気持ちから、再確認してもよい点をあげてみますね。

身体の使い方

腕の動きは全く見えないので、もしかしたら、右手上腕、肩、手首などに多少かたさがあるかもしれません。身体の使い方を考えると、右手、左手、身体の使い方において、無駄な動きを極力無くすこと、効率よく身体を使い、効率のよい演奏方法をすることはとくにこのような曲に関してはとても大切です。

移弦

ご自身で移弦が気になるようなので、そのことに触れますね。動画を拝見する限り、移弦そのものに関して大きな問題があるようにはみえませんでしたが、このような速い移弦の際には、となりの弦になるべく近く(重音を弾く感覚に限りなく近く)弓の角度を保つことも大切ですね。(ただ、実は16分音符を演奏するときの弓の使い方は、一歩踏み込んで説明させていただきたい気持ちがあります。)

弓のコントロール

動画から見聴きするに弓圧のコントロールはとくに必要だと思います。また、どのストロークに関しても、ストロークをはじめる前に、きちんとした準備ができているかどうか、どれくらいのスピードで、どれくらいの弓圧で、弓のどの場所で、どれくらいの弓幅を使いたいのか、などが、頭でも身体でもしっかり理解できているかどうか、再確認することは大切です。弓の使い方について一度詳細にわたって 頭も使って 整理してみること、そして、その選択が単に 便利のため ではなく、できれば、フレーズづくりと音色への選択などの音楽性に結びついていることが望ましいですね。

美しい音・クリーンな演奏

本番は秋とのことなので、左手を安定させる音程の練習は必ず重ねながら、強弱に関わらず、楽器がだせる一番よい音(美しい音)をできる限り保ちながら、クリーンな音や演奏をめざしたいですね。

 

せっかく一所懸命練習されているので、以下にもう少し詳しく触れていきますね。

もしかしたら、おもしろい、と感じられ、演奏スタイルまで、がらっと!!!!変わってしまうかもしれませんし、逆に、え~っ!!今さら~?! え~ッ!!そんなこと興味ない~!!と思われるかもしれません。(笑)

 

弓使いについて

たぶん、冒頭に抜粋部分を載せたカール・フレッシュの版を使われているのかしら、と思います。この版では、アップボウから始めることが推奨されていますが、私はダウンボウからはじめます。アップからはじめる人も、ダウンから始める人もいて、どちらも可能です。

 

私がアップボウからはじめることを選択しない理由

私個人の観点からいうと、アップボウから始めると、とくに、8分音符の最後に弓を必要以上に高くリフト(弦から弓が遠く離れる)しがちになり、16分音符への入りが、弓を高いところから落とすような感じになり、そのうえ、たくさん弓を使うと、一番最初に弦に着地するのが、弓のフロッグのあたりという重たい部分に’なるため、コントロールしきれず、音が必要以上に荒くなりやすくなります。(少しこころあたりがありませんか?(笑))

 

もし、ダウンボウからはじめるとすると、コントロールしやすくなり、弓が弦から不用に離れることが避けられますし、弓の上半分のあたりだけで演奏することも、下半弓あたりだけで演奏することも、そして、よりたくさん弓を使う演奏も可能になる、つまり、表現の選択肢が広がると思います。

もし、ダウンボウではじめる場合は、その際の弓の使い方のコツもあるので、ご興味があったら、またお話ししましょう。 

 

演奏のスタイルについて考える

パガニーニは弓の元のほうをほとんど使わなかった という文献がある、と私の先生から伺ったことがあります。また、これは私自身の感覚ですが、パガニーニのカプリスは基本的にコンパクトなアプローチのほうがあっているように感じています。

私はパガニーニの研究家でもなんでもないのですが、Henle版 の Annotations on Interpretation において Barbieri氏は以下のように

Variation 4 must be played with consummate technical precision and a gentle tone; the same applies to Variation 5 with its dialogue between the legato sixteenths and the eighth-notes on the G string

ヴァリエーション4へのアプローチと同様、ヴァリエーション5も  gentle tone  で演奏することを推奨しており、とくに16分音符には p を書かれています。 

 

ただ、この曲はパガニーニによるもの。モーツアルトやベートーベンで許されない「ルール破り」が可能な世界だと思うので、ご自身の感じるままに まずはぐいぐい表現してみましょう。(笑) 小回りの利く軽自動車でパリや東京の街を走り回るのか、ロールスロイスのようなラグジェリーカーで、アメリカの広大な土地(というのはなんだか似使わないけれど)をゆったりと走るのか。(笑)

 

全体のなかでのヴァリエーション5の位置づけを考える 

カプリース24番は テーマ、10のヴァリエーション、そして、フィナーレと12のセクションから成ります。ヴァリエーションひとつひとつの性格があるので、全体のなかでのヴァリエーション5の位置づけを考えることもひとつ頭の片隅においておくといいと思います。

 

フレーズについて考えよう

フレーズをかたちづくることは、何を演奏するにおいてもとても大切なことですが、このヴァリエーションをどのようにかたちづくりたいですか?

最初は1回目がフォルテ、2回目がピアノ という意図が感じられますが、そのあとはどう弾きたいですか? ヴァリエーションの最後は小さく終わりたいようですが、リビーとサインのあと、5小節目から11小節目まではどう弾きたいですか?

たとえば:

 

f:id:dearstudents:20200628065042p:plain

最初の2小節:

1.2小節 forte、2小節 p

2.2小節クレッシェンド、2小節dim. 

3.上の1.2の両方をする

リピートサインのあと:

1.4小節のdim. 4小節のcresc.

2、2小節のdim. 再び大きくはじまって2小節のdim.、再び大きくはじまって4小節のdim.

3.4小節のdim. 4小節のcresc.

4。4小節のdim. 3小節のcresc. 最後だけdim.

などなど、譜例の書き込みが多すぎてわかりにくくなってしまいましたが(笑)、いくつかの可能性があります。フレーズのつくりかたによって、弓をいつ、どのくらい、弓のどの部分をつかって、どのくらいの弓圧で使うのか、が変わってきます。

もうすでに譜読みはすっかり終わっていますから、どのようにフレーズをつくりたいのか、そして、それを表現するには弓をどう使えばよいのか、を考えてみるといいですね。

そして、その方向に進んでみて、いや、やっぱり違う!と思えば、また別の可能性をさぐればよい、です。

フレーズをみつけるには、うたうことが一番です。

ただ、私自身、最初のうちはそれができずに、たくさんの曲をつかって、フレーズをみつけ、かたちづくる練習を重ねて、わかるようになってきました。

このセクションの場合、八分音符をうたってみるだけでも、フレーズがどこに向かっていくのか、という感覚がつかみやすいと思います。 

パガニーニのカプリースの場合、技術的にとても難しいので、弾くことばかりに気持ちがいき、音楽を表現するということが後回しになってしまうのはある程度仕方がないという面もありますが (自分自身が勉強していたときにそうだったからです。。。)、一度は考えてみる価値はあると思います。

 

クリーンな演奏・美しい音をめざそう

課題のひとつとして クリーンな演奏 という言葉を使いましたが、音を出す際の姿勢として、どのような音をだしたいのか、ということを決定したうえで、演奏中に音をだしながら つくる のではなく、ストロークの最初にその音を出し、それを保つように努めるという姿勢が大切です。これはどんなに短い音に関してもそうです。

具体的な提案もできますが、前出のとおり、弓使いや bow distribution (弓のどこで、どれくらい、どのように使うのか)はフレーズのかたちをどうつくるのか)によって変わってくるので、まずはその点を再考していただいてから、よかったらまた一緒に考えましょう。

また、何を演奏するにも、自分の楽器がだせる一番良い音、一番美しい音で演奏できるように努力を重ねることはとても大切です。良い音というのは、弦の振動がきちんと楽器に伝わっていて、楽器がきちんと鳴っている状態です。これはどんなに小さな音でも、どんなに重厚な音でも、です。ヴァイオリンは小さな楽器で、速くたくさんの音を演奏することが可能とされているので、私たちはいつでもたくさんの音を弾かなければなりませんし、そのすべての音をよい音で弾くことはとても至難の業ですが、(パガニーニのカプリスは左手も右手も大変なので、そのうえによい音もだすなんて、過酷です!!!!!) ヴァイオリンを選んでしまった以上、仕方がないので、「すべての音を美しい音で」をこころに、「自分は今、よい音、美しい音をだしているだろうか?」を常に自分に問いながら練習しましょう。

 

Happy Practicing!