Dear violin Students 私の大切な生徒たちへ

ヴァイオリンを学ぶ方々と分かち合いたいたくさんのこと

ヴァイオリン協奏曲の難易度:私がたどった勉強の道のり

練習曲・エチュードに関しては、過去に少し触れたので、今日は、ヴァイオリン協奏曲について私の経験をお話ししましょう。

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なぜヴァイオリン協奏曲を学ぶのか?

ヴァイオリンを学ぶものは、小さな頃からヴァイオリン協奏曲をたくさん勉強しますね。それは、「ヴァイオリンのために書かれている」協奏曲 を通して、音楽性を養うとともに、ある程度効率よく、ヴァイオリンのテクニックを学ぶことができるからです。

 

室内楽は、ほかの音楽家たちとのコミュニケーションや、アンサンブル能力、そして、音楽性を育てることに有効です。室内楽は、2人から10人くらいまでとかたちはさまざまですが、ひとりの奏者に対して、ひとつのパートが与えられています。ふたりでしたら 1/2 、トリオでしたら1/3、カルテットでしたら1/4と、ひとりに与えられる割合は演奏家の人数によって分散されるにしても(ピアニストは、右手と左手の2人分かもしれませんけれど(笑))、オーケストラで演奏する場合よりも、ひとりに対しての責任の比重がずっと大きくなりますね。(もちろん、そんな風に簡単に割り切れるものでもありませんが(笑))ある程度、個性を発揮することもできますし、指揮者なしで、ほかの演奏家といろいろなことを分かち合い、考え、演奏できるのは大きな喜びです。

 

オーケストラにおいては、正確性がとても大切になります。より多くの人間が関わっているからですね。室内楽のところで述べたことを考えると、ひとりへの責任の割合は小さくなります。ヴァイオリンの場合は、同じパートを14人から16人くらいで(曲などによって多少変化します)弾くからです。ある意味、必ず誰かが助けてくれる ともいえますし、ひとりでがんばりすぎず、ひとりで力みすぎず、周囲から聴こえてくる音に細心の注意を払い、周囲にしっかりと溶け込む音色を選び、正確なリズム、音程、アティキュレーションなどを楽譜から再現します。tuttiは、指揮者にも、プリンシパルにも注意を向けていないといけないので、常に細心の注意が必要です。けれども、壮大な音・壮大な音楽を大きなシンフォニーホールで再現できるのは、オーケストラならではのこと。いろいろな楽器の音色もそれぞれユニークですし、指揮者やプリンシパル、周囲の演奏家たちから、いろいろ学ぶこともできます。室内楽とはまた別の喜びです。

 

できることならば、早い段階から、このように 協奏曲などのソロ、室内楽、オーケストラ の 3つの柱に触れる機会をもつことが大切です。

 

ヴァイオリン協奏曲の難易度といっても…

さて、タイトルで「ヴァイオリン協奏曲の難易度」という言葉を使っていますが、この難易度 という言葉はとてもやっかいです。協奏曲に限らずですが、いってみれば、ある意味どれも難しいからです。(笑) 私たちは、作曲家が亡くなったあと、250年以上経っても弾き続けられるようなすばらしい作品の数々を勉強しています。それぞれの作曲家にユニークな言語があり、スタイルがあり、それは、同じ作曲家の作品をいくつも勉強したり、また、他の作曲家たちの作品にも触れることで、体感し、理解できるようになってくるものです。

例えば、私たちがヴァイオリンをはじめてまもなくヴィヴァルディやバッハはバロック時代に書かれており、ご存知の通り、当時は今、私たちが使っているモダン楽器とは少し違うタイプのヴァイオリンや弓が使われていました。しっかり勉強しようと思ったら、その当時の楽器のこと、そして、それでできたこと、できなかったこと、より深い楽譜の読み方なども勉強しなければなりません。

そして、モーツアルト! 彼の作品はとてもユニークなスタイルで、洗練された独特の音楽表現を必要としますので、すべてのヴァイオリン奏者が得意とできるものではないような気がします。

なんだかずいぶん脅かしてしまったかもしれません.。(笑)けれども、みなさんは、子供たちが演奏するヴィヴァルディやバッハ、そしてモーツアルトがどれだけ美しいかご存知ですか? まだそれほど経験のない彼らは、ただただ指を動かし、弓を動かし、彼らにできるだけの精一杯をするのですが、純粋に書かれたものを追うだけでも、それはそれでとても美しいものですし、ときに人のこころを打つものです。だって、すでに作品そのものがすばらしいのですから。(笑)

なので、私たちは、常に、未知の世界に対しての好奇心を忘れずに、きちんと弾くことは難しいだろうということをなんとなく感じながら、それは一体どういうことなのか?ということを考え続ながら、将来、その難しさの本当の意味をきちんと理解し、それを理解したうえで、自分にできることを探せるように、そして、それすら克服できるところにいけるかもしれないという期待を胸に、決して足を止めないようにしなければなりません。

大人の方々は、決して諦めずに楽しみながら訓練を続けましょう。以前、サイトウ・キネン・オーケストラでもご活躍されていたすばらしいヴァイオリン奏者に指導を受けたことがありますが、そのときに、先生は、パガニーニみたいな難しいことなんてできなくてもいいのよ なんて学生の私に言ってもいいのかしら? と感じさせるようなことをすずしい顔をして、平気でおっしゃいました。今となってはその言葉の意味がとてもよくわかります。

 

以下、私が教えるときに使う協奏曲の数々、そして、自分自身が勉強したもの を順番にリストしていきますね。そして、機会をみて、小品(私の言う小品とは、本当に短いものから10-15分くらいの長さのものを指します。協奏曲のひとつの楽章くらいのボリュームと考えてもいいかもしれません。)にも触れられればと思います。

 

1、私が生徒たちと勉強するもの

Seitz concerto no. 5, 2

Vivaldi concerto in a minor

Vivaldi concerto in g minor

Bach concerto for two violins

Rieding concerto in G Major

Seitz concerto in g minor op.12

Accolay concerto in a minor

Haydn concerto no.2 in G Major

Viotti concerto no. 23 in G Major

Beriot concerto no. 9 in a minor

Viotti concerto no. 22

(Mozart Adelaide concerto)

 

2.上記に続き、私が若いころに、何も知らずにとりあえず触れたもの

Bach concerto in a minor

Bach concerto in E Major

Mozart Adelaide concerto

Mozart concerto no. 5, 4, 3

Bruch concerto in g minor

Mendelssohn concerto in e minor

Beethoven concerto 

 

3、私がある程度きちんと勉強したもの

Mozart concerto no. 4

Bruch concerto in g minor

Lalo Symphonie espagnole (1, 4, 5)

Mendelssohn concerto in e minor

Saint-Saens concerto in b minor

Kabalevsky concerto in C Major

Wieniawski concerto in d minor

Barber concerto

Sibelius concerto

Haydn concerto in G Major

Vieuxtemps concerto no. 5

Mozart concerto no.3 in G Major

Glaznov concerto

Vivaldi Spring from Four Seasons

Conus concerto

Mozart concerto no. 5

Vieuxtmps concerto no. 4

Prokofiev concerto no. 1 in D Major

Brahms concerto

Beethoven concerto

Stravinsky concerto (終えられず ^^;)

Bartok concerto no.2 (終えられず ^^;)

Berg violin concerto (終えられず ^^;)

Vivaldi Four Seasons

 

(Nardini concerto)

(Dvorak concerto)

(Tchaikovsky concerto)

(Prokorive concerto no.2 in g minor)

(Khachaturian concerto)

(Mendelssohn concerto in d minor)

(Haydn concerto in C Major)

 

以上の並び、なんとなくお分かりになるかもしれませんが、基本的には、バロック、古典派、ロマン派、20世紀(現代)のカテゴリーのなかを行ったりきたりしています。ある程度のところにきたら、ロマン派の作品ばかりを学ぶのではなく、いろいろな時代のものに触れて必要がありますね。

 

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