Dear violin Students 私の大切な生徒たちへ

ヴァイオリンを学ぶ方々と分かち合いたいたくさんのこと

ヴァイオリンを乾燥から守るために

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desert in usa

ここのところ、アメリカの私が住む地域は、ものすごい乾燥に襲われています。

数日前には、レッスンをしている場所の湿度計に 湿度20パーセント という怖ろしい数字を見て、仰天しました!!

毎日、加湿器を使っていますが、なかなか湿度は上がりません。

今日は少しよくなって、ようやく 34パーセント です。

目が乾燥し少し痛みますし、頬にもつっぱる感じが。このような状態では、のども痛めやすく、風邪も引きやすくなり、人体にもよくありません。

そして、もちろん、ヴァイオリンにとっても、乾燥しすぎている状態です。

日本のみなさまはたぶん、多湿にお悩みになることのほうが多いのかもしれませんが、冬場はかなりかなり乾燥するとも聞きました。こちらでは乾燥が大きな悩みです。

このように乾燥が問題となるような環境では、少なくともケースのなかは湿度40パーセントくらいを保ちたいものです。

多湿にお困りの環境では50-60パーセントくらいでしょうか。

 

なぜ、乾燥はヴァイオリンにとってよくないのか?

ヴァイオリンには自然の素材である木が使われています。木にはもちろん、多少、水分が含まれていますが、乾燥がひどいと、水分が奪われてしまいます。すると、楽器が割れやすくなったり、よく鳴らなくなったりするのです

 

数年前、私は生徒のレッスン中に、事故で自分の弓を落としてしまいました

カーペットのうえに落ちてくれればそれは防げたかもしれませんが、残念ながら、タイルの上に落ちてしまい、弓先が真二つにおれるという衝撃の事態を体験しました。本当にショックでした。。。(涙)幸い、しっかり直すことができましたが、一度割れてしまったものは、もちろん価値がぐんと下がります基本的にはもう売ることはできませんので、自分で使うことしか考えられません。弓を直す際には、同じ音に戻るはず とおっしゃってはいただいていたものの、私の耳には、同じには感じられませんでした。今となっては、もとの状態での音がどのようなものだったのか忘れることができたので、あまり気にせずに使っています。

また、私の生徒は、フルサイズのヴァイオリンをご自宅で床に落としてしまい、表板が20センチ以上の割れてしまいました。割れた状態を拝見しましたが、こちらも本当にこころ痛むショッキングな状態でした。もちろん修理をすることで、現在も使われていますが、とても残念なアクシデントでした。

乾燥がひどいとこのような事故は起こりやすくなります。

ヴァイオリンを乾燥から守るためにしたいこと

ですので、私は、私自身が乾燥を感じる際には、生徒たち(とくにフルサイズを使っている生徒たち)には、その旨、伝えて、なんらかの対処をするようにうながすようにしています。

私の対処法は:

1.加湿器を使う

2.dampitを使う(もしくはその代用品)

です。

 

加湿器はヴァイオリンを守るためだけでなく、私たちが健康で過ごしやすくいるためにも、とても助かります。

 

dampitは海綿もしくはスポンジのような水分を含みやすい素材の周りに穴のついたゴムがついているものです。水にしばらく漬けて水分を含ませ、ケースのなかに入れておいたり、Fホールから楽器のなかに入れて、楽器の内側から水分を与えたりすることもできるようになっています。

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dampit

余談ですが、この商品名は damp it (それに水分を与えなさい!)を短くしたものですね。最初はそれに気づかなかったのですが、なんだかオモシロイ(^^)

 

上記を持ち合わせない場合には、スポンジやハンドタオルにある程度水を含ませたものをジップロックなどの袋に入れ、針などでたくさん穴を開けたものをケースのなかに入れておくことで代用することも可能です。

また、私はペグの部分だけもう少し加湿したいと思ったことがあり、その際には、少し固めにしぼったペーパータオルをペグの下に、楽器には触れないように、しいて一晩ケースを閉めておいたこともありました。翌日には、そのペーパータオルにまったく水分が残っていませんでした!!!

(私は、楽器の裏板の下に入れてみたこともあったのですが、その際には、楽器に触れてしまっていたようで、楽器が白っぽく変色し、かなり焦りました!!!!が、すぐに元通りになりました。でも、楽器には触れないように、また水分が多すぎてもこのようなことが起こる可能性があるので、気をつけて!)

また、コメントをいただいたことで思い出したのですが、過去にロンドンでご活躍だった私の先生は シャワーを浴びたあとに、バスルームにケースを開けておいておく ということを提案くださったこともあります。かなり多湿になるので、ファンを使って、少し湿度を逃がしてから、そうしてみたことも1度だけありました。

 

乾燥がひどくなる地域にお住まいのみなさま、ぜひ楽器をしっかり守りましょう。