Dear violin Students 私の大切な生徒たちへ

ヴァイオリンを学ぶ方々と分かち合いたいたくさんのこと

メトロノームの使い方

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生徒の年齢にもよりますが、私は割りに早い段階からメトロノームの導入をはじめまあす。

ヴァイオリンは基本的にひとりで弾くことのほうが少ない楽器です。

ピアニストにハーモニーを供給してもらったり、室内楽だったり、オーケストラだったり、必ずといっていいほど、誰かと一緒に演奏することになります。

一緒に音楽を演奏するには、関わる人数が多ければ多いほど、ひとりひとりの正確性が高いほうが合わせやすい ということになります。

私はこれまで、ピアニストと一緒に演奏する室内楽、ヴァイオリンとピアノのためのソナタを多く勉強してきましたが、あるとき、とてもすばらしい音楽性をもつピアニストとご一緒させていただく機会がありました。本当に音楽が生き生きとするすばらしい感覚は得られたのですが、正確性にかけるため、音楽が安定しない という問題にも遭遇しました。

音楽の根底にある pulse(パルス=拍)。

英語の pulse は 心拍 をあらわす言葉でもあります。

日本語でいうと 脈拍、心拍 の拍ですね。

つまり、拍は 音楽の心臓の鼓動である ということです。

 

まだ若い生徒が演奏中に走り出す(無意識に速く弾きだす)と、「あれれ? 心臓発作がはじまったかな?」「心臓の病気になっちゃったかな?」などと表現したりして、笑い、リラックスしながらも、音楽のとても大切な部分に触れるようにします。

 

一定のテンポを保った演奏は、その音楽が健康な心臓を持っているということでもあり、それはとても大切なことです。

 

そして、その心臓は、演奏者が提供しなければなりません。

 

他の先生のところからきたティーンの生徒たちは、ときに、とても表情豊かに演奏してくれますが、テンポを保って演奏することができません。ritaldando も  accellando も 拍を一定に保って演奏できる能力があるからこそ、上手に生かせるものです。

 

メトロノームを使う際には、まずそれとしっかりとあわせて弾けるようになることが最初のステップですが、真の目的は、演奏者が正確なパルスを自分のなかに育てること。メトロノームがなくても、パルスを正確に保てるようになることが目的です。つまり、メトロノームに合わせて弾けるだけでは不十分なのです。

 

私はこのことに自分自身で気づき、そのときの aha! (アハ体験)は今でも忘れません。