Dear violin Students 私の大切な生徒たちへ

ヴァイオリンを学ぶ方々と分かち合いたいたくさんのこと

Encore International Music Competition (online) 締め切り迫る

enkor competition

enkor competition

Encore International Music Competition 締め切り迫る! 

Encore International Music Competitionには過去に私の生徒も参加し、成績を残しています。コンクール側から、親切に締め切りが迫っているとのお知らせが届きました。日本のみなさまも参加できる、ビデオ(+オーディオ)審査によるものなので、こちらにもお知らせしておこうと思います。

英語なので、もし不安があるようでしたら、コメント欄からなど、ご連絡くださいね。

 

The application deadline for the 7th edition of ENKOR Int'l Violin Competition is approaching quickly. Deadline is May 31.
ENKOR provides your students with the unique opportunity to get heard and recognized by so many professionals and influential people in the music industry. We are the only one competition with a Jury Board consisting of 500+ members from 70+ countries on 6 continents.
Location: online
Eligibility: all nationalities
Age Groups
Cat A: up to 10 years 
Cat B: 11 to 15 years 
Cat C: 16 to 20 years 
Cat D: 21 to 25 years  
Repertoire Requirements
Free choice (one or more pieces) from the Standard Repertoire: baroque, classical, romantic or contemporary periods. Contestants must perform from memory.​
Total duration of the videos for 
Category A : up to 10 minutes 
Category B: up to 15 minutes
Category C, D: up to 20 minutes 
 

 

コンクールのサイト:

www.enkorcompetition.com

 

Good Luck !

 

 

カイザー1番 / Kayser 36 Studies no. 1 Allegro moderato

カイザー1番, Kayser no.1

kayser no. 1 カイザー1番

目次

 

 カイザー1番の性格

カイザー1番はC Major / ハ長調。篠崎ヴァイオリン教本でヴァイオリンをはじめた方々にはとても馴染みのある調性ですね。ヴァイオリンを演奏するうえで最も大切で、最もよくでてくるストローク、デタシェについて考え、向上を図るためのエチュードです。フレーズは楽譜にある強弱をつかって、うまく示すことができるようになっていますね。 

 

Detache / デタシェ

デタシェはヴァイオリンの演奏の基本です。洗練されたデタシェのストロークの習得に到達すると、ひとつひとつ均一で粒のそろった音がだせ、常に楽器が鳴っている状態を保つことができます。もちろん、そのうえで、強弱や音色も変えられるようになるのです。

私は、デタシェのむずかしさ、そして、美しいデタシェというものがどういうものなのか、ということがわかったとき、そして、どのようにすればそれに近づくのか、ということをみつけだせたときの衝撃を、今でも決して忘れることができません!!!

美しいデタシェは、均一で、音のつぶがそろっていて、音と音の間にまったく隙間がなくきれいにつながります。

まずは、弓の中央、そして、それよりも少し上のほうを使って練習します。

基本的には、弓の圧力とスピードを同じに保つことで、音の均一性が保たれます。

繰り返しに近いですが、以下の記事にもデタシェについて少し書いていますので

参考にされてください。:

dearstudents.hatenablog.com

 

Allegro moderato とは

Allegro = 元気よく

moderato = 適度な、ほどほどな

元気よく、でも、元気がよすぎる感じではなく、ほどほどに という感じでしょうか。(笑)

 

楽譜の指示とおりに強弱を

まずは、何が書かれているかを学んで、左手も、右手も、ある程度、楽になってきたら、楽譜に書かれてある強弱、クレッシェンド、ディミニュエンドを表現してみましょう。

基本的には、音量を大きくする際には、弓を速く、たくさん使い、音量を少なくする際には、弓を少なく、弓圧も少なく使います。

音の強弱を表現する際にも、自分の頭のなかで、どのような音をだしたいのか、イメージしてみることもとても大切です。(これは音程にも同じことがいえます。)

大きな音というのは、たとえば、体育館で、たくさんの方々を前にスピーチをするとき。(もちろん、普通でしたら、マイクを使うとは思いますが、)あなただったら、どのような声のだしかたをしますか?

小さな音というのは、たとえば、仲のよいお友達と隣同士で座って、ほかの人たちに邪魔されずに、ふたりでおしゃべりするとき、あなただったら、どのような声のだしかたをするでしょう?

このように違ったふたつの状況において、私たちは、きっと違ったからだの使い方をして声をだすはずです。

ヴァイオリンでも同様のことがいえます。

ただ単に、弓を少なく使う・たくさん使う というだけではなく、どれくらい声を小さくしたいのか、大きくしっかりした音をだしたいのか、イメージして、自分のヴァイオリンからでてくる音と関連づけることが大切です。

強弱は、単に音の大きさ、小ささだけでなく、実は、音色の変化 でもあるのです。

本当に奥が深く、すばらしい世界ですね!!!

 

弓使いのヴァリエーションも忘れずに

Schirmer出版のSvecenski版には、6種類の弓使いが記されています。

これも、うえに掲げた ウォールファルトの練習曲の記事にも書きましたが、なるべく早い段階から、いろいろな弓使いに触れることはとても大切です。

この1番では ある意味 たった6種類だけ しか記されていないので(笑)ぜひ、ひとつひとつ向き合ってみましょう。

もし大変であれば、たとえば、最初の16小節だけをつかって練習してみる など、全体ではなく、部分をつかってすることで、少し負担が軽減されますね。

 

dearstudents.hatenablog.com

Happy Practicing !

 

カイザー2番 / Kayser 36 Studies for violin no.2: Andante quasi Adagio (Svecenski)

 

目次

 

カイザー2番の性格

カイザー2番はとても短いものですが、最初から最後までレガート奏法をつかって、表情豊かに演奏することについて考える機会を与えてくれるエチュードですね。やりすぎる必要はないですが、クレッシェンドやディミニュエンド、アクセントにより表情が加えられます。アクセントは2つしかありませんが、決して乱暴にならないように、音楽の流れを邪魔しない程度に、やわらかな強調としましょう。

 

Andante quasi Adagio とは?

Andante = 歩くテンポで

quasi = のように

Adagio = ゆっくりと (イタリア語ではどちらかというと のんびりと)

歩くテンポだけれど、どちらかというとゆったりと という感じですね。

8分音符が連なるところであわてずに美しく弾けるテンポをみつけて、それを全体にあてはめられるかどうか考えて、調整してみましょう。

 

表情豊かに、けれども リズムも正確に

カイザー2番, Kayser no.2

Kayser no.2 mm. 25-28

 

このセクションではリズムの正確性が保てない生徒もいるので、注意しましょう。

4拍子でうたうように演奏しますが、このような場合には、1と2と3と4と と8分音符を感じながら、きちんと数えましょう。

 

また、8分音符が短くなりすぎる演奏もときどきみられます。ヴァイオリンを弾く際には弓を水平に動かして、常に弦を震わせていなければなりません。どんなに短い音を弾くときにも、この動きは必要です。8分音符を演奏するために与えられている時間のなかで、きちんと弓を横に動かし続けて、音が短くなりすぎないように気をつけます。

 

27小節目にみられるスタカートは四分音符につけられたもの。8分音符についているのではないので、短くなりすぎないようにします。そのほうが曲の性格にもあいますね。

 

その他、考えるべきこと

* Morendo = dim + rit.  少しずつ音量をおさえて+だんだんゆっくり

* このエチュードでは表現を加えるために、ビブラートも大切な要素となりますね。

今もっている自分のビブラートをしっかりと使って、表情を加えます。まずは自分のビブラートに向き合うことからはじめましょう。

 

dearstudents.hatenablog.com

Happy Practicing !

 

篠崎ヴァイオリン教本1巻 75番 春の小川

4指の使い方、スラー、移弦など、少しずつむずかしくなってきましたね。😊

これまでよりも、仕上げるのに少し時間がかかりそうですね。

だいじょうぶ。

ときには、あわてずに、じっくりと時間をかけて練習することに必要なの。

この曲では、ラの音を弾くときに 開放弦を使ったり、4指を使ったりしますので、

楽譜をよくみて、正しく練習しましょう。

(先生によって、多少、指づかいの提案が違うかもしれませんが、以下に私の指づかいを記しておきます。)

今日は70よりもゆっくりと弾いていたと思うけれど、それに近かったと思うのでそれに基づき、音源には 四分音符=70, 85 の2種類が録音されています。

自分にあったほうを選んで参考にしてみてね。

もしかしたら、85くらいまではもっていけるかもしれないわね。

 

篠崎ヴァイオリン教本1巻 春の小川、shinozaki violin method a brook of springtime

篠崎ヴァイオリン教本第1巻 春の小川

 

 A=441, 四分音符=70、85

 


春の小川(童謡)

歌/演奏:池田みゆき イラスト:SoPuRa 作詞:高野辰之 作曲:岡野貞一

【歌詞】

春の小川は、さらさら行くよ。

岸のすみれや、れんげの花に、

すがたやさしく、色うつくしく

咲けよ咲けよと、ささやきながら。

春の小川は、さらさら行くよ。

えびやめだかや、小鮒の群れに、

今日も一日ひなたでおよぎ、

遊べ遊べと、ささやきながら。

ゆめある - 親子向けのアプリ・手遊び・昔話がいっぱい!親子向け総合サイト 

 

dearstudents.hatenablog.com

 

 

ハーモニクスの際の4指 (モンティ チャールダーシュ)

ヴィットーリオ モンティ(1868-1922)はイタリアの作曲家。彼が書いたチャールダーシュはとても有名ですね。ハンガリーの伝統的なダンス、チャールダーシュをベースになっています。チャールダーシュはゆっくりとはじまり、最後にはとても速くなるのが特長で、4分の2拍子、もしくは4分の4拍子で書かれています。

 

モンティ チャールダーシュ ハーモニクス

モンティ チャールダーシュ ハーモニクス

今日の生徒からの質問:

 

ハーモニクスを弾くときの4指はまっすぐでも大丈夫ですか?

 

私のこたえ:

 

とても興味深いよい質問をありがとう。

ハーモニクスを弾く際には、小指の先ではなく、腹(一番肉付きのよい部分)をつかいます。ですので、そうしようとすると自然と指がだいぶまっすぐになります。

そう。まっすぐでいいんですよ。:)

 

ヴァイオリン  ハーモニクス 4指

ヴァイオリン ハーモニクス 4指

 

 

カイザー 35番 / Kayser 36 Studies for violin no.35: Allegro con fuoco (Svecenski)

カイザー35番は レガート(いくつもの音をスラーで弾く)や、音程の勉強にいいエチュードですね。

目次

 

一番音程が難しい部分: 25-27小節目

25-27小節の部分で音程の問題に直面する生徒が多いですね。

ステップを踏んで、上手に練習しましょう。

kayser no.35 mm.23-28

ステップ 1: まずは4つの音のグループのうち、最初の音だけに焦点を当ててみましょう。下の楽譜Aにみられるように、すべて1の指で演奏します。.

できる限り、開放弦を使って、音程を確認しましょう。この場合、DとEがあてはまりますね。ステップ1からステップ3まで、常にするようにするようにしましょう。:

kayser no.35 mm.25-27 how to practice

ステップ2:うえにみられるBのように練習をして、グループの最初の音と最後の音を安定させましょう。1指と4指でフレームを確立させるのです。.

ステップ3: 音程を安定させるため、オクターブを重音のようにして弾いて練習しましょう。上の符例Cにあたります。

**ステップ2、ステップ3の練習方法は、15-16小節目、57-58小節目にも使えます。

ステップ4: 楽譜にあるとおりに弾いてみましょう。(スラーをとって練習することも大切です。)その際に、指の置き方にきちんと注意を払うこと。.

kayser no.35 mm. 25-28 with markings

書き込みがある部分は指の関係です。半音のしるしは、それは指が隣同士になって、くっつくとういう意味で使っています。

例えば、25小節目のどのシャープ(2指)とらのナチュラル(3指)はそれぞれ別の弦を押さえますが、指の関係はとなり同士です。.

ときどき、指の太さや、分数ヴァイオリンにおいては、指をくっつけてしまうと音程がずれてしまう場合もありますので、必ず、しっかり聞いて、耳を頼りに練習しましょう。

休符を正しく数えて、感じて:45小節目と67-72小節目:

ときどき、休符をみごとに無視する生徒がいますが!!!(笑)、お休みもとても大切な音楽の1部です。

Kayser no.35 mm. 44-47

このエチュードは2分の3拍子。2分音符を1拍と数え、1小節に3拍ですね。45小節目の最後の1拍はしっかりと分割して数えて、ミの音で正しくはいりましょう。

67小節目から最後までの拍のとりかたは以下の通りです:

Kayser no.35 mm.67-end

 重音:67小節目から最後まで

音程に問題がある場合はとくに、1音ずつ弾いてから重音を弾くという練習をしましょう。

1音ずつ弾いてから、というのは、例えば67小節目の重音の場合、ミ、ド、ソ と弾いてから重音で弾く ということです。

こうすることで、なんとなくの重音の音程を感じるのではなく、ひとつひとつの音程をしっかり聞き分ける耳を鍛える練習にもなります。

pizzとあるのは、一番最後の重音まで有効です。

 

「pizzを全音符分どうやって伸ばすのですか?」

とってもおもしろい、いい質問です! 

も気になる方はコメントを残してくださいね!

 

その他の注意点

* 29小節目:ラのシャープとレのシャープは、1指ではなく、4指を使いましょう。指の訓練にもなりますし、重音のとらえる手のかたちの訓練にもなります。

* 40小節目:ソのダブルシャープはAナチュラル。開放弦で音程を確認しましよう。

* 1指と4指でフレームをつくる感覚感覚を養う練習は、15-16小節目、57-58小節目にも使うことができます。

* すべての音をしっかりと理解し、ある程度よい音質で弾けるようになるまで、ゆっくりと練習しなければなりませんが。最終的には、この練習曲の性格をも表現できるようになるといいですね。この曲は Allegro con fuoco = lively with fire ! (生き生きと、燃えるように、情熱的に)。これらのキーワードをもとに、あなただったら、どのようにこの曲を演奏したいですか? 🙂

dearstudents.hatenablog.com

 

Happy Practicing!

英語の勉強:Nurse portrayed as superhero by Banksy

Nurse portrayed as superhero in new Banksy artwork

Boy chooses health worker to play with over Batman and Spiderman in new piece unveiled at British hospital.

 

f:id:dearstudents:20200509174637j:plain

 

英語のあとに、同じような内容が日本語で録音されています。

 

 

A new Banksy artwork paying tribute to National Health Service workers has turned up at Southampton General Hospital in England. The painting, titled Game Changer (2020), was delivered to the hospital along with a note that says: “Thanks for all you’re doing. I hope this brightens the place up a bit, even if its only black and white.” 

In this new artwork by Banksy that encapsulates the gratitude Britons have felt toward the country's National Health Service during the coronavirus crisis.

"An inspirational  backdrop to pause and reflect in these unprecedented times,"Paula Head, Hospital chief executive said on Twitter.

 

unveil 発表する、ベールを脱ぐ

backdrop 背景

unprecedented 前例のない

encapcel カプセル化する

gratitude 感謝

 

cbc.ca より

ザイツ ヴァイオリン協奏曲2番3楽章アレグロモデラート 練習のてびき / Seitz concerto no.2 3rd movement Allegro moderato Study Guide

私たちヴァイオリンを勉強するものにとってのはじめての協奏曲がザイツによるものですね。
Suzuki Violin School3巻までとは違い、1つの曲(楽章)のなかにも、いくつか違った性格(曲の感じ)が提示されるので、それらを表現するために必要なテクニックも広がります。

フリードリヒ・ザイツ(1848ー1916)はドイツのヴァイオリニスト・コンサートマスター・指揮者でした。学生のためのヴァイオリン協奏曲を8つ書いています。

 

調性・拍子

ヴァイオリンを鳴らしやすい調性のひとつG Majorが使われており、途中、e minor, D Majorなども上手に織り込まれており、曲の雰囲気に変化があります。

拍子は8分の6拍子。Suzukiの教本だけをみると、ここではじめてでてきますね。8分音符を1拍とし(=8分音符をひとつと数えて)、ひとつの小節に6拍。これは3拍子を2つ、という風にとらえることもできます。これだけですでになんだかエレガントな雰囲気と、「動き」が感じられるのではないでしょうか?

 

全体のロードマップは?

楽譜を最初にぱっとみただけでも、なんとなく4つくらいのセクションに分けられるのがわかりますか?

このあたりは、たくさん音符があって、黒いから(笑)いそがしそうだな、とか、このあたりは、長い音符やスラーがたくさんあるので、うたう感じなのかな、とか。

みなさん、大抵の場合、とにかく早く弾きたい!とヴァイオリンをにぎりしめて、よ~し!と最初の音からひとつずつ虫眼鏡でみるように勉強をはじめることのほうが多いかと思いますが、こうして、絵画をみるように、楽譜を遠くから眺めて、大きくとらえることも大切なことです。こうして、曲を通しての旅のロードマップの全体像をなんとなく頭に思い浮かべてみましょう。この作業は、ひとつひとつを虫眼鏡でみるステップをはじめてからすることもできますよ。

 

冒頭の8分音符の練習方法: mm.9-16

最初のセクションでは、お休み(8分休符)を次の音への準備としてつかうことをおすすめします。

最初のアップボウを弾いたら、次の8分休符の際に、弓を弦のうえにおき、しっかり準備をしてから次の音を弾くようにします。録音のなかで私が ON! といっているのはそういうことです。ON!といいながら、弓を弦上においています。そうすることで、次の音をしっかりと発音し、きちんと弾くことができます。最初のセクションにみられるすべての8分休符で同じようにするといいですね。

seitz concerto no.2 3rd movement beginning

  ℗ 2020 dearstudents

 

スタカートをみると、どうも弓を弦から離したくなる生徒がたくさんいますが、弓は水平に動かしましょう。私たちはいつも楽器を鳴らし続けなければならないのですが、その際には、弦をしっかりと震わせるために、弓を水平に動かさなければなりません。ヴァイオリンにおけるスタカートは、ピアノの演奏の際のような上下の動きではなく、弓を水平に速く動かすことが大切です。

以下は関連記事です:

「お休み」はお休みじゃないの? - Dear Students 私の大切な生徒たちへ

 以下は関連記事です:

弓の動かし方:ダウンとアップ、本当はそうじゃないの? - Dear Students 私の大切な生徒たちへ

 

 重音の練習方法:mm.19-20

重音のセクションは雑になってしまうことが多々ありますね。

それを避けるために、落ち着いて、ステップを踏んでみましょう。

録音はこのセクションの一番下にあります。

ステップ1:メロディーだけ弾いてみましょう。

seitz concerto no.2 3rd movement mm.19-20 melody

ステップ2: 右手の練習のためにオープンストリングで弾いてみましょう。

a. まず20小節目の最初の拍のコードをオープンストリングで弾いて右手を慣らします。(下の楽譜2小節目の最初です。)

b. mm.19-20 をオープンストリングで弾いてみましょう。この2小節を弾いている間、右手がどのように動くのか、しっかり意識できるようになります。

seitz concerto no.2 3rd movement practice as open strings

c. そうしたら、左手をつけてみましょう。できあがり!

 

表情豊かに、けれども、しっかり数えて!: mm.49-67

ときにタイが上手にできない場合もあるので、しっかり数えて、感じて、リズムを正しく演奏しましょう。もし、難しい場合には、録音でしているように、すべての音を8分音符で弾いてみるのもひとつの方法です。 

  ℗ 2020 dearstudents

 このセクションはうたう部分ですね。 espressovo e tranquillo = 表情豊かに、そして、落ち着いて とあり、調も短調にかわります。これらのキーワードをもとに、あなただったらどのように演奏しますか?

 

まず音程、そして 優雅に:mm.68-75 (=mm.76-83)

72小節目が難しいと感じる生徒もいますね。ミのシャープはファのナチュラルと同じ音程です。2種類の指使いがしるされていると思いますが、2の横にナチュラルがついているのは、ミのシャープはファのナチュラルとしてとりましょう、という意味です。 

f:id:dearstudents:20200506160513p:plain

seitz concerto no.2 3rd movement mm.72 and 80 intonation

音程は以下の録音のようになります。

 

左側の指使いは、ミのシャープはそのままミのシャープとしてとらえ、1指を半音上げてとり、次ぎにでてくるファのシャープは1指のすぐとなりにおきます。最初にファのシャープを弾いていますので、1指のとなりに2指をおくときに、最初と同じ場所に2指をおくことになりますね。 

右側の指使いは、ミのシャープをファのナチュラルととらをるため、一度おいた2指を半音さげ、次にファのシャープをおくときには、2指のすぐとなりに3指をおきます。

このセクションは grazioso = gracefully 優雅に です。8分の6拍子のなかでのスラーのついた軽やかな16分音符の連なりや流れをあなたならどのように表現しますか?

 

輝かしく!でも、急がないで!:mm.84-93

このセクションはスタカートなしで、まずはあわてずに練習しましょう。8分音符として以下の録音のように練習してみるのも効果があります。

 ℗ 2020 dearstudents

どの音でどの弦を弾いているのか、しっかりわかって弾かなければなりません。

あわてて右手と左手のタイミングがあわなくなってしまう生徒たちもいるので、気をつけて練習しましょう。あわてずに、余裕をもって弾けるテンポで練習することで、うえの2点をしっかりクリアすることができます。

このセクションは brillante = brilliant 輝かしく。16分音符がたくさん並んでいると、忙しい印象を受けるかもしれませんが、この楽章の最初には Allegro moderato とあります。 Allegro=lively 生き生きと、modrato=moderately ほどよく、つまり、生き生きと!でもちょっとおさえて、という感じでしょうか。16分音符が並んでいるだけでも、すでにエネルギーが高くなり、輝かしいですよね。ですから、無理をして速く弾こうとしなくても大丈夫。それよりも、まずはいい音できちんと弾けるようにしてみましょう。

 

重音; m.94, 95, 108, 108

もし、難しいと感じたら、まずは慣れるために、重音だけをとりだして弾いてみましょう。重音を弾く際には、弓を弦に押し付けるのではなく、2本の弦にしっかりと弓の毛が触れる弓の角度をみつけましょう。

mm.94-95 は risoluto = 力強く。重音では2本、3本の弦を弾くのですから、すでにエネルギーがあります。正しく練習して、いい音がだせれば、この力強い感じがでてくるはずです。

m.103 からは piu mosso = more motion = faster 前よりも速く ですね。もし余裕があれば、そうしてみましょう。重音をしっかり練習し、自信rをもって演奏できれば、輝かしい曲の終わりを表現できます。

重音の練習方法、例えば:

seitz concerto no.2 3rd movement mm.94, 95, 107, 108 

 ℗ 2020 dearstudents
録音が少し雑な感じになってしまっていてごめんなさいね。
学んでいるみなさんは、ぜひぜひ丁寧に練習を重ねてください。

さあ、楽しく練習を続けましょう!        

 ℗ 2020 dearstudents

英語の勉強:Tom Hanks sends Letter and Typewriter to encourage the boy, Corona

ここ最近で一番こころあたたまったニュース。

英語のあとに、日本語で同じような内容が流れます。

 

Tom Hanks Sends Letter and Typewriter to Bullied 8-Year-Old Boy Named Corona

Corona De Vries, 8-year-old boy wrote to Tom Hanks and his wife after they got the virus in Australia. 

The boy wrote "I heard on the news you and your wife had caught the coronavirus," "Are you OK?"

He added that he loved his name but was being called "coronavirus" at school.

"I get very sad and angry when people call me this," he wrote.

Tom Hanks kindly replied the boy started as  "Dear Friend Corona".

"Your letter made my wife and I feel so wonderful! Thank you for being such a good friend - friends make friends feel good when they are down."

"You are the only person I've ever known to have the name Corona - like the ring around the sun, a crown."

He also sent a Corona-brand typewriter, which he had used during his quarantine in the city.

"I thought this typewriter would suit you," he said. "I had taken it to the Gold Coast, and now, it is back - with you. Ask a grown up how it works. And use it to write me back."

Hanks had hand-written at the end of the letter: "PS! You got a friend in ME!" - a reference to the popular film's theme song.Corona reached out to Hanks because of his role as Woody in the Toy Story films,according to his family.

 

テン・ハヴ アレグロ・ブリランテ / Ten Have Allegro Brillante op. 19 

今日は Ten Have Allegro Brillante op. 19 のなかでの問題になるセクションについてお話ししましょう。

Willem Ten Have (1831-1924) はオランダ人で、のちにフランスに渡り、ベリオに師事しました。

アレグロ・ブリランテは日本ではあまり馴染みのない曲かと思います。

私自身もアメリカで教えるようになってから出会った曲です。

アルペジオや重音の使用、G弦の効果的な使いかたなど、ヴァイオリニストらしい書き方になっています。

 

さて、問題となるセクションは:

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Ten Have Allegro Brillante op. 19 mm. 24-31

アルペジオでの移動 ですね。

このような場合には、書かれてあるとおりにだけ練習をするのではなく

同じ音の並びでうえから降りてくる練習もするととても効果的です。

具体的には、以下のようになります:

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Ten Have Allegro Brillante practice

 

 四分音符=50・80 で録音してあります。

最初は少しゆっくり練習して、その後、テンポを上げていくようにしましょう。 

ちょっと忙しかったので、雑な感じがでてしまっていますが (^^;

みなさんは丁寧に練習してくださいね。

 

この練習方法はもちろん、他の作品にも使うことができます。

メンデルスゾーンの協奏曲、ヴィニアフスキの協奏曲 などなど

アルペジオがたくさん使われている曲にはとてもいい練習方法のひとつです。

このようなすばらしい曲をたくさん勉強しておくと、難しく、大きな曲を勉強する際に非常に役立ちます。

私はこのようにたくさんの小さなステップをつくって生徒たちを導きます。

大きく、美しい花を咲かせるためには、しっかりとした根を育てなければなりません。

 

 

 

英語の勉強 : Bring Peace in Your Mind

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ここ数日、夜中になるとインターネットが使えなくなります。

支払っているサービスを使用できない、ということには不満がつのるので

今日は、問い合わせをしてみます!
が、
インターネット漬けになりがちな私たちにとっては、実はそう悪いことではないですね。(笑)
インターネットが使えないときには、持ち物の整理整頓をしたり、本を読んだりすることができます。
今日の音声は、こころを落ち着けるための練習です。
自分自身がストレスを感じやすいこともあり、同じように感じる方々にも、お使いいただけるかと思います。
英語のあとに、同じような内容が日本語で流れます。
今日もよい1日にしましょう。
 

 

First, let’s do some breathing exercise which quickly grounds yourself in the midst of stress as well as anxiety. Let’s take two deep breaths; One in through your nose and out through your month. One more into your nose and out through your mouth. 

Now, just gently seal your lips and allow your breath to return to its natural rhythm, no more deep and no more shallow, just notice the air going in and the air going out, noticing the air flow, in and out.  You can do this for a few moments while noticing your chest rise and fall;  as the air is filling your lungs, your chest rises and when the air is leaving, your chest falls. Again, breathe in and out. 

Under this difficult situation, we need to remember how we feel when we are in a calm state. We do prepare, take proper measures and steps, then, we can let go of our fears and worries. It may seem difficult to do so, especially when we are facing an uncertain future, but we can.

Also, we should not get too panicked by the news we hear through the media. 

We collect the information we need. We should not let the media control us.

It is easy for us to be pulled by the negative, so we need to make time to ground ourselves and bring peace in our heart and mind as well as focusing on the now, here in this moment, not to fret about the future.

After the storm, we will have fine days.

After the dark, we’ll see the light.

Negativity will go away and we’ll be in a better place.

We need to talk to the people around us who are in panic by telling them this will end eventually and it will be all right. We need to show smiles. We have to help each other. We guide each other to the light, and provide love to each other. We’ll be patient and stay healthy both mentaly and physically.

 

in the midst of ~     ~の只中にいる

fret about = worry about

 

 

ヴァイオリンにおける左手、左腕の準備

ヴァイオリンを演奏するうえで、音程、音の発音(はっきり や やわらかく)、そしてヴィブラート に関して、左手はとても大切な役割を担っています。

正しく訓練し、また、自分自身の身体にあった、よく機能できるポジションを常にみつける努力をしなければなりません。(とくに大人の方にとっては大切です。)

 以下はとても基本的な動きですが、左指を指板に置くまえに、ウォーミングアップのつもりで以下の動きをやってみましょう。

ヴァイオリンをはじめて間もない生徒にも、すでに何年も弾いている人にも、ときに基本に立ち返り、確認をすることはとても大切です。

 

1. ヴァイオリンを演奏するときの正しい位置に構えましょう。

  ヴァイオリンとフロアがだいたい平行になる感じですね。

2.左手でヴァイオリンのネックを包むように握ってみてください。

  左手のひらすべてのエリアがにネックに触れます。

  ご自身からみると、下の写真に近い感じになります。

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left hand preparation 1

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left hand preparation 2

3.握っている左手や左腕をゆるめて、指をG弦のうえにおいてみましょう。

その際に、指は丸くカーブした状態を保ちます。手のひらはまだネックに触れていて大丈夫。

 

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left hand preparaion 2

4.指の丸みを保ったまま、手のひらをネックから離して、左手首と左腕がだいたいまっすぐになるようにします。左手首が少しだけ内側に入るのは問題ありません。

つまり、手首と腕のラインがまっすぐ、もしくは、少しだけ手首が中にはいる、のどちらかです。

ヴァイオリンをはじめて勉強する際には、まっすぐを目標にすることをおすすめします。

親指はもちろん、ほかの指にも不自然な力みがはいらないように、自分の身体の様子を観察し、感じてみましょう。

 

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left hand and arm position

 5.そして、ときにそのままの左手のかたちをたもちながら、4つの指で弦を触れたまま、G弦、D弦、A弦、E弦、E弦、A弦、D弦、G弦へと繰り返し移動してみましょう。左腕がG弦の際には内側(自分からみて右側)、E弦の際には外側(自分からみて左側)、と振り子のように外側から内側に、内側から外側に、と動くのがわかりますか?そうです。実は、ヴァイオリンを弾く際には、左腕も常に同じ場所にあるわけではないのです。

(のちに写真か動画をアップできればと思います)

 

 

篠崎ヴァイオリン教本1巻 G弦練習を補うために

 

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The Boy Violinist - John George Brown ca 1874 Brooklyn Museum


篠崎ヴァイオリン教本1巻 62番から G弦の練習にはいりますね。

G弦は、ほかの弦に比べると、確かに使用頻度は少なく、またG弦を弾く際には、触れてしまう可能性のある弦がD弦1本だけになるため(ただ、ときどき、弓を向こう側に傾けすぎて、ヴァイオリン本体を弾いてしまう場合もありますね(^m^;)、A弦やD弦を弾くときほど、他の弦に触れてしまう可能性は低くなるといえます。

G弦では2指と3指が半音の関係になるため、D弦A弦よりもA弦は太くなりますが、ある意味、手への負担も少なくなります

63番、64番は、A弦練習23番、28番、D弦練習34番、35番同様、常に練習を続けるにしても、私自身の指導の経験上、G弦上の練習曲はもう少し数があってもよいような気がします。

 

***ちなみに、私の生徒たちには、23番に慣れてくると、以下のように、34番と同様、4指まで使って練習を重ねてもらっています。

dearstudents.hatenablog.com

 

G弦の練習に触れる期間が短すぎると、低い音の読譜の機会にも恵まれないことにもなり、加線のある音に対しての定着が遅くなることも多くあり、あったからです。

補うために、私自身が書いて、補足教材をつくってあります。

ご興味のある方は、私の英語のサイトからダウンロードできるようにしました。

こちらの記事の下のほうにあるDownloadをクリックしてみてくださいね。

https://dearstudentsdotblog.wordpress.com/2020/04/22/g-string-practice/ 

 

 

 

英語の勉強:People without Face Coverings could Face Fines

先週、買い物にでた3日前に、マスク着用が非常に厳しくなっていました。

マスクなしで入店しようとしたところ、店員さんに止められたのはこれが理由でした。

マスクや手洗いうがいくらいのことでしたら、とても簡単なことなので、積極的にしたらよいと思いますし、日本に比べると、衛生面に対しての感覚が低いので、よい機会のようにも思います。

4月20日には、5月の先物の原油価格がニューヨーク市場ではマイナス圏に入るという歴史上はじめての事態も起こっています。日本はトレードのシステムが少し違うようで、ここまでにはならなかったそうですね。

英語のあとに、大体同じ内容が日本語で繰り返されます。

 

 

It was a recommendation, however, it is now a requirement to wear face coverings and social distancing for the businesses that are still in operation during stay-at-home orders in our area. 

Both the business providers as well as customers have to keep this practice, since the number of covid-19 cases has continued to increase. 

Violation of the practices can result in $500 fine, daily started April 13, 2020. Some areas are facing a fine of $1,000 per violation per day.

President Trump said on April 4th that he would not wear a face mask despite the CDC's recommendation.

I take his message as we must protect ourselves, however we should respect individualism, diversity, and freedom which are some of the values rooted in the history of the United States. 

ヴァイオリンのサウンディングポイントについて考える:Vieuxtemps 36 etudes op.48 no.2

2020年の NAfME - National Honor Ensembles のオーディションの課題のひとつは

Vieuxtemps 36 etudes op.48 no. 2 ですね。

オーディション課題は途中からになっているので、そこから数えての小節番号を記してあります。

今回、少し問題になっていて、学ばなければならないことのひとつに サウンディングポイントを至急に変えること がありますね。

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Vieuxtemps op. 48 no. 3 Allegro moderato

12小節目です。

その前で、音が高くなるにつれて、クレッシェンド とあり、12小節目のダウンビートはスフォルツァートで、その後、再びフォルテに向かってクレッシェンドがみられます。

この場合は11小節目の方が音が高く、エネルギーが高いので、12小節目のスフォルツァートのあと、音も下がってくることを利用して、赤字で書き込んだようなディミニュエンドをすることで、その後のクレッシェンドを効果的に行うことができますね。また、12小節目、そして、13小節目をシークエンスと捕らえることは容易です。

さて、問題になっているのは、この赤で囲ってあるクレッシェンドが効果的にできない、ということです。

なぜだかわかりますか?

それは、そのクレッシェンドに与えられている時間がとても短く、そのうえ、使える弓の量も少ないからです。

時間をかけずに、すぐに大きくならなければならないタイプのクレッシェンドをしなければならない。そうするためには サウンディングポイントをすぐに変えなければなりません。つまり、弓をこの2つのストローク(ダウンとアップ)だけで、もっと詳しく言うと、この場合は、ダウンボウで弾くBとAはまだ音が下降中なので、実はまだディミニュエンドの途中。ですから、短いアップボウひと弓だけで、大きなクレッシェンドをする必要があり、弓を駒のほうに寄せなければならないのです。

ヴァイオリンの演奏においては、弓の圧力、スピード、そして、サウンディングポイントの3つの要素を掛け合わせることで、多種多様な音色をつくりだすことができるので、サウンディングポイントという概念を知ることはとても大切です。

サウンディングポイントとは? 

サウンディングポイント と コンタクトポイント

コンタクトポイントとは文字通り、駒と指板の間における、音を出す際の弓の毛と弦の接点。そして、サウンディングポイントとは、自分が求める音をだすための最良のコンタクトポイントです。

私たちは常に最良の音を追究しているのですから、そのような観点からみた場合には、サウンディングポイントとコンタクトポイントは同じである ともいえますね。

ただ、まだこの概念に対して、新しい場合、そして、まだヴァイオリンを初めてまもない場合には、それが一致しないこともよくあることです。

今日のところは、とりあえず、サウンディングポイント という言葉を選んで先に進みますね。

5つのサウンディングポイント

カール・フレッシュによると (according to Prof.. Julia Bushkova at University of North Texas College of Music) サウンディングポイントは5つのセクションに分けられます。

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sounding point on the violin

Fホールの丸い穴をつなげたちょうど駒と指板のちょうど中間点あたり、はじめてヴァイオリンを勉強し始めた頃に、いい音がでるのはここなので、常にこのあたりに弓をおきましょう、と教わるところを3番と呼ぶことにしましょう。

次に、指板のすぐ手前のところを5番、駒のすぐとなり、sul ponticello (スル ポンティチェロ=駒の上、もしくはすぐ隣を弾くことで、ノイズの混じったような音をだす奏法)にならずに、きちんとよい音が出せるところを1番とします。

このように設定すると、1番と3番の中間を2番、3番と5番の中間を4番とすることができます。

このようにサウンディングポイントは、少なくとも、だいたい5箇所に分けることができます。もちろん、1番と2番の間、2番と3番の間 などがあってもいいわけですから、もっと細かく分けることもできますし、必ず3番に弓をおかないと! 必ず1番に弓をおかないと! というわけでもありません。これはサウンディングポイントについて考え、理解するための、単なるガイドですので、それも覚えておいてくださいね。

例えば、ダウンボウ全弓をつかって、ディミニュエンドをする場合、弓元を1番あたりにおくことからはじまり、弾いている間に、サウンディングポイントを1番、2番、3番、4番、5番というように、指板のほうへむかって滑らせるようにすると、ディミニュエンドをより効果的に行うことができます。また、音色も力強いものからすぐ隣の人に語りかけるような音色に変わります。

アップボウ全休をつかって、クレッシェンドする場合には、弓先をたとえば4番あたりにおくことからはじまり、弾いている間に、サウンディングポイントを3番、2番、1番と移動させることで、効果的にクレッシェンドすることができます。また、音色もすぐ隣の人に語りかけるようなものから、力強いものへと変えることができます。

一般的にGストリングのサウンディングポイントは指板寄り、Eストリングのそれは駒寄り、振動させられる弦が短ければ駒寄り、長ければ指板寄りになります。

 

サウンディングポイントを変える際の弓の動き

基本的には弓は常に駒と平行にあるべきですが、サウンディングポイントを変化させるために弓を移動させる際には、ダウンボウでは向こう側にむかって、アップボウの際には、自分の方へ寄せるようなイメージで、円を描くような動かし方をします。弓をそのようなイメージで動かすことで、駒と指板の間をスムーズに行ったり来たりすることができるのです。

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sounding point and the bow motion

そう。ダウンボウとアップボウは、単純な水平の動きだけではなく、実は円のイメージでつながっているのです。

上手にコントロールしながら、円を描くように動かすと、弓が自然とついてきて、サウンディングポイントが変わる、という風にもいえます。

 

サウンディングポイントに変化をつける具体例

Vieuxtemps op.48 no.2  12小節目

さて、Vieuxtemps に戻りましょう。

先ほども述べたように、12小節目の最後の4つの16分音符はB,A,A,E。B,Aは下降であることから、A,Eを弾く際の短いアップボウひとつで聴衆に届く、はっきりとしたクレッシェンドをしなければなりません。このセクションは Allegro moderato です。後からでてくる Tempo I の重音でうたう部分とははっきりとした対照性をもたせるためにも、あまりゆっくり演奏することはできません。

テンポが速ければ、その分、その瞬間に与えられている時間は短く、使える弓の量も限られてきますので、サウンディングポイントをかえるにも、たとえば、3番から4番へ という程度ですが、そうすることで大きな効果を得ることができます。

サウンディングポイントについて、考え、理解するための基本的な練習は今回は省きますが、この部分で効果的なクレッシェンドをこのセクションにあった性格を維持しながら演奏するための練習方法を記しましょう。

練習方法

1.自分の弓が12小節目の最後の2つのストロークを弾く際に、弓のどのあたりをどのくらい、どのサウンディングポイントで弾いているのかを確認します。

a. 弓のどのあたりを使っていますか? 

たぶん、上半弓、少し真ん中に近いあたりではないですか?

b. 弓をどのくらい使っていますか?

今のところ四分音符=70くらいで弾いていますから、10センチから20センチの間くらいかしら? 計測する必要はないですが、目分量でどのくらか観察してください。使える弓の量はその人の弓を速く動かせる能力に応じて、変わってきますね。

c. サウンディングポイントはどこですか?

たぶん、3番のあたりにいると思います。

 

2.まずオープンストリングを使って、少しゆっくり何度か弓の動きを確認しながら、サウンディングポイントに変化をつける練習をしましょう。

先ほど確認した3つのことをあまり変えずに、(でも、もちろん、ゆっくりする分、弓の量は多くなりますね)音量などをあまり気にせずに、ダウンボウでは弓を向こう側へ少し押し出すような感じで、弧を描くように押し出します。そして、アップボウでは自分のほうへ引き寄せるように弧を描くように、弓を動かします。サウンディングポイントは変わっていますか?

 

3.サウンディングポイント4番から3番、3番から2番、そして、4番から2番 という風に「どのくらいの幅で」サウンディングポイントに変化をつけられるのか試してみましょう。

 

3.慣れてきたら、ダイナミクスも少し意識します。

これまでの動きに、今度は弓量の変化も加えます。

ダウンボウでは少しディミニュエンド(もしくは単純に音量を少し少なく)をイメージしながら、弓を向こう側へ少し押し出すような感じで、弓量は少なく、弧を描くように押し出します。そして、アップボウではクレッシェンド(もしくは単純に音量を大きく)をイメージしながら、弓量を多くし、自分のほうへ引き寄せるように弧を描き、弓を動かします。

私の場合ですと4番から1番に近いところくらいまで、与えられている時間内でサウンディングポイントを変えることができます。

 

 4.そして、最後に左手をいれてみましょう。

なんとなくまだ違和感があるようでしたら、またゆっくりからはじめるのがいいですね。

  

今日のレッスンは盛りだくさんになりましたね。(笑) 

 

サウンディングポイントはとても大切な概念です。けれども、ひとつそれと同様に忘れてはならないことがあります。大切なのは、12小節目の最後のふたつの音は13小節目のダウンビートに向かっていくエネルギーがあるということです。この音楽のもつエネルギーをしっかりと感じ、それを運ぼうと意識することで、サウンディングポイントを変える動きもときについてきてくれます。つまり、テクニックは音楽への理解とそれを表現したいという気持ちについてくるのです。1週間は焦らずに、練習をして、また来週聴かせてください。そして、またそこからどのようにしていけばいいのかを一緒に考えましょう。

 

このテクニックは Bach Sonata no. 3 for solo violin Largo 冒頭4つの音をマニュスクリプト通りに演奏したい場合、つまり4つの音に与えられる弓順は ダウン、アップ、アップ、ダウン:

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bach largo beginning

そして、たしかGavinieのエチュードにもあったと思ったのですが、忘れました。(笑)